挨拶も終わると機械だらけの部屋に案内された。
その間に麻衣ちゃんと仲良くなったよ。
可愛かった!これで着物を着れば…言うことなし!
そんな妄想突入していると、ナルと喧嘩した?お坊さんと巫女さんが部屋から出ていき、後からナルそっくりな顔した男が入ってきた。
「ナル。ごめん、遅れた。」
「遅いぞ。ジーン。」
『(ぎゃーす!)』
やっぱり私が助けたのがジーンだと判明いたしました!せんせー!
なんで、日本来たんだ。デイヴィスせんせー!ジーン死んでないのに!
あぁっ、バレたらどうしよう!
「あれ?この人は?」
「あぁ、そいつも捜査を頼まれたらしい。ジョン・ブラウンさんだ。ちなみに年はぼくたちより上だ。」
「へー。よろしくね。僕はジーン。ナルの双子の兄だよ。」
ナルと同じ顔でニッコリ笑って私に握手を求めてくるジーンにヒクリと口がひきつる。
覚えてなかったぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!!
はずっ!!!なんかはずっ!!!
もう、イヤだ。帰りたい。
「ジョンさん?」
『ぁ、あんじょう頼みます。』
握手を返してから私はさっさとその場から去った。
もう、あんな恥ずかしい思いしたくないよぅ…!
私が泣きそうになりながら顔を真っ赤にして麻衣ちゃんに話しかけてる後ろで、ジーンが眉間にシワを寄せて難しい顔をしていたことを私は知らない。
ジーンSide
僕はちょっと前に事故で命を落としそうになった。
日本に来て、滞在予定の半分を過ぎたころだった。
昼間に山を歩いていると、背後から車がくる音が聞こえて、ふり返るとカーブを曲がった車がまっすぐ僕に突っ込んできた。
すごい衝撃で僕の身体が宙を飛んで倒れる。
動けなくて、そのまま伏せていると、車が止まって女の人が降りてきた。
彼女は僕を見て悲鳴をあげると車にもどって、
もう一度僕を車で轢こうと車が近付いた時だった。
僕の身体に何かが覆いかぶさった。
すると、車がどんどん遠ざかって、
そこから僕の意識は途絶えた。
最後に見えたのは太陽に透けてキラキラと輝く長い髪と綺麗な青い瞳だけだった。
目が覚めたら僕とおんなじ顔をしたナルがブスッとふてくされていた。
「あれ?なんでそんなに怒ってるの?」
「……おまえは馬鹿か。」
そう言って僕の頭を殴るナルに苦笑を零す。
「ジーンを轢いた犯人は捕まったそうだ。」
「それよりも、僕、探したい人がいるんだよね。」
「……まさか、」
「付き合ってくれるよね。」
ニッコリと笑みを深めてそう言えば、ナルははぁ…とため息を一つ吐いてめんどくさそうに僕を見た。
「誰なんだ?」
「金髪で青い瞳をした女の子。年は…僕たちと同じか、それより下。たぶん、日本に住んでる。ここからへんの地理に慣れてる感じだったから。僕の命の恩人。」
「…とりあえず、今の仕事が終わってからだ。」
「わかってるよ。」
あぁ、楽しみだなぁ。
ドロリと自分の欲が溢れた気がした。
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bkm