そして私たちが今いるのはローグタウン。
人がたくさん。
さらに詳しく言うと、私とナミがいるのは、
『どうかな?』
「微妙だ。」「おおっ!お似合いでお客様っ!」
『これは?』
「ない。」「ほーっ!エレガントで!!」
『じゃあ、これ…』
「無理」「エレメントで!!お客様!」
お洋服屋さん。
お店の人とそんなことを繰り返すこと、約一時間。
服は山のように積み上がってる。
「こちらすべてお買い上げで?!」
「いらねェ。」
『え、』
ナミってば、私にあれだけファッションショーさせといて、すべて却下らしいです。
お店の人も、私もかわいそう。
って、言ったら、
「じゃあ、あの一番露出激しかったの買うか。きっと、サンジ辺りが喜ぶぜ。」
『ごめんなさい。うそ。嘘です。』
一番、恥ずかしかった服を買いそうなナミを説得するの疲れた。
私、弟の将来が心配です。
こんなんで、彼女出来るのかなぁ?
背中に【彼女募集中】の張り紙付けてあげたいよ。
「…なに、考えてんだ?」
『えっ?あ、なんでもないよ!』
ジッとナミの背中を見ていたら、視線に気付いたナミが、ギロリと睨んできたので、慌てて笑ってごまかす。
やだ、なんでこんなに勘がいいの?
「とりあえず、次の店行くぞ。」
『え、』
ナミに手を掴まれると、私はズルズルと次のお店に連れて行かれた。
あぁ、ナミの目がキラキラしてる…
これは、当分ナミから解放されないな、と小さくため息を吐いた。
▽
ナミがたくさん、本当にたくさんの量の服を買ってるのを遠い目をしながら見る。
自分の分もあるんだろうけど…、積み上げるくらいに買わなくても…
「ナマエ、荷物は俺が持つから、お前は持たなくていいぜ。」
『え、大丈夫だよ。私も持つよ?』
「いいんだよ。俺に全部任せろ。な?」
『えぇ…、』
私の弟のイケメン具合に、ちょっと落ち込む。
お姉ちゃんに、そんなイケメンになってもしょうがないのよ。もっと、他の女の人にイケメンになって。
そんなことを思いながらも、二人で外に出る。
「ん…?」
『どうしたの?』
「空気が変わった…」
そう呟いたナミにつられて、空を見上げるけど、残念ながら私にはわからないです。
だって、航海術なんて持ってないもん。
「しょうがねぇなぁ。」
そう言って、ナミがまたお店に戻っていく。
それを待っていると、今度は何故か男の人に絡まれた。
「ねぇねぇ、君一人?」
『?違いますよ。二人です。』
「へぇ、丁度いいね!俺たちと遊ばない?」
あれ?これってもしかして、ナンパっていうものかなぁ?
てゆか、そっちは五人くらいいるのに。
二人と五人って丁度よくないよね。
なんて思いながら、ニコニコと笑って誘いを断っていると、肩を掴まれた。
「俺のになんか用?」
『あら、ナミお帰りなさい。』
なんだか、変だなって思ったけどスルーすることにする。
きっと、俺の姉さんって言いたかったんだよね。
ナミはあわてんぼうだなぁ。
「はぁ?男かよ!」
「なぁ、姉ちゃん。こんな男ほっといて、俺たちと遊ぼうぜ!」
「あ“?」
『あ、』
なんだか今、ナミの怒りに触れた気がする。
「醜男が調子乗ってんじゃねぇぞ。あぁ?ナマエがてめェらなんかと釣り合うか。」
「あぁ?!」「なんだ、このクソ男!」
『あー…、』
ナミに殴りかかろうとする男の人たちに、ご愁傷様と、手を備えた。
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bkm