とうとうルフィくんたちが出発する日。
あれ以来、ルフィくんとは会ってない。
……とゆーか、私が避けてる。だって、会う度に仲間になれ!なんて言わせてたら、諦められるものも諦められないしね。
あれから会ったのはウソップくんだけ。
ウソップくんは、無理すんなよ、なんて私を労わってくれるいい人でした。
こんないい人がいるなんてナミも安心。
今日はベルメールさんに、どうせ最後なら見送りくらいちゃんとしろ!って言われたので、見送りにきた。
あんまり気が進まなかったけど、まあ、しょうがないよね。
……うん。でも、それが間違いだったのかな。
なんで、
「じゃあ、ナマエとナミをよろしく。麦わらくん!」
「おぅ!任せろ!」
『…………あれ?』
私は船に乗ってルフィくんに拘束されてるんだろ。
『えーっと……、』
「ナマエ、頑張りなさいよ!」
『いや、あの…』
「今日からおれの仲間だ!」
『えー…』
もしかして、私ってハメられた?
ニコニコといい笑顔のベルメールさんと、これまた素晴らしい笑顔のルフィくん。そして、私と目を合わせてくれないゲンさん。
えー…
クルリと後ろを向いて、ウソップくんとゾロくんとサンジくんを見る。
目を逸らされた。
えー…
ここまできたら、腹を括るしかないのかなぁ…
行くつもりはなかったんだけど…
「船を出せ!!!!」
そんなこと考えていると、ナミの大きな声が全体に響く。
「走り出したぞ!!?何のつもりだ!?」
「船を出せってよ……とにかく出すか。」
『え、』
「帆をはれ!!!」
私、完璧スルー。
スタンとナミが船に乗る。
いまだに私は拘束されたまま。
ナミは船に乗ると、ドサドサと服からたくさんのサイフを落とした。
「あ!!?あれ!?サイフがないぞ!!?」
「おれもだ!」
「わしのも!!」
「私も!!」
「みんな、元気でな!」
ニコッと笑うナミは可愛い、可愛いけど…
「「やりやがった あのガキャーーーッ!!!」」
『私、こんな子に育てた覚えない…』
「おい。変わってねェぞ、コイツ。」
「また、いつ裏切ることか。」
「ナミさん グーッ!!」
「だっはっはっ」
ルフィくんから解放されて、私はナミに近寄って甲板の方へ向かう。
村の人たちが全員いる。
みんなが口々に優しい言葉をかけてくれる。
私はこの村が大好き。
ノジコ、ごめんね。
私は今日この村を出る。
最後に旅立ちの唄を貴方に捧げた。
ありがとう。ノジコ。
私、貴方になってしまって苦しかった。
けどね、それと同時に優しい人たちに触れて、すごく幸せだったの。
ううん。これからも、きっと幸せになれる。
貴方の“生”を奪ってしまったこと、私は忘れない。
一生貴方に感謝を捧げる。
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bkm