I need you! 15


ぎゅっと、左胸を押さえる。
アーロンの刺青じゃない。今度は、ベルメールさんとゲンさんの刺青。

なんだか嬉しい。

ナミより先に刺青を彫るのが終わった私は、一人ドクターの家から出る。
月明かりが綺麗な夜。みんなの笑い声が聞こえてくる。


「よォ。」
『あれ?えっと、』
「ロロノア ゾロだ。」


それに自然と笑みを浮かべていると、声が聞こえたので、そちらを向くと、そこには緑の髪をした男の子。もとい、ゾロくん。

うん?なんでここに?


「あの時は助かった。」
『え?あ、どういたしまして?』


あの時っていつのことだか分からないけど、とりあえずお礼を言われたので、言葉を返す。


「…あんたは、行かねェのか?」
『……うん。だって、私にはベルメールさんたちがいるから。今度は、私がみんなを守らないと。』


にっこりと笑って言葉を返す。

確かに、ルフィくんたちとの旅はすごく魅力的。
だって、あの物語の中に私が入れるなんてすごく楽しそう。
でも、それと同時に不安でもある。
だって、私はすでにベルメールさんを助けるっていう物語から逸れた物語を作り出してるから。

もしも、私がいない間にベルメールさんになにかあったら、って思うとすごく不安。

だから、私は行かない。


「そうか…」
『ゾロくんは、ナミのことよろしくね。すごく手のかかる子だと思うけど。』
「よろしくしたかねぇな。」
『…まあ、なんだかんだいってゾロくんは、いい人だから。』


クスリと、私が識ってる物語の彼を思い出して笑う。

なんだかんだいって、すごく仲間思いな彼。
うん。すごく楽しそうだなぁ。


「…ルフィはどうすんだ?」
『大丈夫。ルフィくんも諦めるよ。』
「……せいぜい頑張れよ。」
『へ?』


はて?と首をかしげると、ゾロくんはそのままどこかに行ってしまう。

なんだったんだろう?
まあ、とりあえずベルメールさんのところに行こ。



『ベルメールさ…、』
「ナマエ…、こいつをどうにかしてくれんか…」
「んんー?お、ナマエー」


ベルメールさんたちのところに着くと、びっくり。

酔っ払ったベルメールさんとその被害者のゲンさんがいました。


「あんたを待ってたのよぉ!」
『べ、ベルメールさん、お酒臭いよ…』
「ベルメール!ナマエにベタベタするんじゃない!」
「なによぉ。ゲンさんには関係ないでしょぉ?」


ベロンベロンに酔っ払ったベルメールさんが、私をぎゅーっと抱きしめる。

ゲンさんの顔が疲れ切ってる…


「私はねぇ、あんたに言うことがあるのよ!」


ビシッと私を指差す目が据わってるベルメールさん。

うーん…あんまり話聞きたくないなぁ…
だって、目が危ない。


「私はねぇ、あんたが考えてるほど、弱くないのよ!それをいつまでもウジウジウジウジ!」
『ベルメールさん…、』
「それに、私にはちゃぁんと守ってくれる男がいるもの。」


そう言ってゲンさんの首をつかんで、にっこりと笑うベルメールさん。


『……え、』
「べ、ベルメール!」
「本当のことでしょ!」


そして顔が真っ赤なゲンさん。

二人がラブラブなのは明らかで、

えー…、嬉しいんだけど…
なんだろう。この複雑な気持ち。

てゆか、ナミは知ってるのかな?


「とにかく!あんたは好きなように行動すること!わかったわね!」
『それは心配しないで。私は好きなように行動してるつもりだから。』


ちょっと複雑だったけど、二人が幸せならいっかぁ、なんて思った。


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -