「ナマエ!そこにいちゃ危ねぇよ。」
『え?ぁ…でも、あの人が…』
ちょうど身体が戻った船長に男が飛ばされたところで、私はナミにみんなのもとへ連れていかれた。
…みんな心配してないけど、あの人大丈夫なんだろうか。
でも、それを忘れて私は船長とアーロンの戦いに目が釘付けになる。
やっぱり彼はすごい。魚人相手に戦ってしまう。
左胸の烙印を抑えながら彼の戦いを見る。
「おれは剣術を使えねェんだコノヤロー!!!」
「…は?なにを言い出すんだあの人は…」
その叫びにクスリと笑ってしまった。
可愛い素直な人。ナミはいい人を見つけたと思う。
「航海術も持ってねェし!!!料理も作れねェし!!!ウソもつけねェ!!!おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある!!!」
『ねぇ、ナミ…』
「ん?」
『ナミはいい人見つけたんだね。』
「………は?」
ポカンと驚いたように口を開けたナミが可愛くてまた笑いが零れた。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ガタガタと崩れ落ちるナミのいた部屋。
それは当然彼によるものであって。
『ねぇ、優しいね。』
「っ、あぁ…!」
ナミの手を繋いでポンポンと頭を撫でる。
この戦いが終わったらちゃんとお礼言わなくちゃ。
ありがとう、って。
彼の放った技によってアーロンパークが崩れる。
私の苦しかった八年間がなくなるようだった。
「み…見ろ!!今の衝撃でアーロンパークが!!!」
「バカな!!崩れそうだ!!!」
「危険だ!みんな離れろォ!!!!」
「でも、まだルフィが中に!!!」
『大丈夫だよ。ナミ。ルフィさんはそんな簡単に死なない。だって強かったもん。』
離れようとしないナミの手を引っ張りアーロンパークから離れる。
すると、ちょうどアーロンパークが崩れ落ちた。
暫く経ってから、崩壊したアーロンパークに立つ男の姿。
「ナミ!!!」
「!………?」
「お前は俺の仲間だ!!!!」
「………あぁ!!」
その瞬間、みんなの声が喜びに溢れた。
みんなが笑ってる。楽しそうに笑ってる。
嬉しくて、泪がポロリと零れた。
瞬間、私たちの喜びに水を差す声。
私の嫌いなやつの、声。
「そこまでだ貴様らァ!!!チッチッチッチッ!!!!」
でも、私が振り向くと同時にすでに海軍はボロボロだった。
「おばえらおでに手ェ出してびろ。ただじゃすばないがらなァ?」
ボロボロの彼らの前ににっこり笑いながら立つ。
ナミもばすっと麦わら帽子を船長さんに返して私のとなりに立った。
『久しぶりです。』
「おべぇは…」
『あの頃は私を好き勝手にしてくれてありがとうございます。………【抵抗、しないでいでくださいね?】』
「ナマエに触った分と、ベルメールさんを撃った分……それからみかん畑をぐちゃぐちゃにしてくれた分…」
私の言霊で抵抗出来なくなった大佐と呼ばれた彼はあっけなく殴られた。
まあ、同情はしない。
彼もアーロンと同じようなものだから。
「ありがと!ナミ!」
『べ、ベルメールさ、ん、』
ナミが吹っ飛ばしたと同時に響く優しい大好きな人の声。
思わず近くにいた人の後ろに隠れた。
「……はぁ。ナマエ。おいで。私は気にしてないよ。」
『で、でも…』
「来ないともう私の食事は食べさせないからね!」
『ぅう…、』
その言葉に渋々とベルメールさんの前に出ると、思いっきり抱き締められた。
『ぁ…』
「ほんっと…バカなんだから…!」
『ぅ、うぁぁぁぁぁああああんんん!!!!!!!!』
泪でぐちゃぐちゃな顔で辺りを見渡せば、ゲンさんも村の人もみんな笑ってくれてて、
やっと、私は解放された。
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bkm