アーロンが私を睨みつけながら何故か銃をおろす。
ベルメールさんに銃は当たってない。
けど、倒れてしまった。
「おい餓鬼ィ。てめェは悪魔の実の能力者かぁ?」
『やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて、ベルメールさんを殺さないで、私の家族を殺さないで、大切な人を、殺さないでぇぇぇぇえええええええ!!!!!!!』
私の叫び声とともにその場にいる人全員の動きが止まった。
殺させない、死なせない、
私の心がぐちゃぐちゃになる。
それと同時に、まだ私がベルメールさんに逢う前に食べた毒々しい色をした食べ物を思い出した。
『私が、なんでもする、なんでもするから、みんなを殺さないで、お金も取らないで、私が稼ぐ、』
「あん?お前みたいなガキにそんなことができると思えねぇな。」
『できなくても、やってみせる。だから、みんなには手を出さないで、』
膝をついて懇願する。
私の大切な人たちをこれ以上傷付けない。
私があの実を食べていたのも、ノジコに成り代わってしまったのも、きっと大切な人を護るためだから。
「あったぜ、アーロンさん!!この家に海図があった!!こんなに。」
『っ、』
みんなが固まる中響いた声に私はビクリと震える。
それは私の識ってるナミが、アーロンに連れて行かれた理由で、
「返せ!!それは俺が描きためた海図だ!!」
『ナミ!!ダメ!!!』
「ホウ…こりゃたまげた…」
私が立ち上がってナミを止める前に、アーロンに海図が渡ってしまった。
ダメダメダメダメ、
「貴重な人材だ、連れて来いハチ!!」
『!、や、やめて!!私だけでいいでしょう??!!私、貴方のためになんでもする、なんでもするから!!!!この村の人たちに手を出さないで!!!!』
グルグルぐちゃぐちゃな頭で私は叫ぶ。
ナミにそんなことしないで。
あの子は夢がある。楽しい夢が。
でも、私のその悲痛の叫びもアーロンに一蹴されて終わった。
「お前たちに逆らう権利はねぇ。それともなんだ。あの女を今ここで殺すか?」
『っ、いや、だめ、』
「わかったらいいんだ。」
私に、逆らう術はない。
それから私は左胸、心臓の辺りにアーロンの一味としての烙印を落とされ暗い部屋に閉じ込められた。
決められ時以外に外に出るのは禁止され、私はアーロンのため歌を歌い続ける滑稽な玩具。もしくは、村の人を苦しめる悪魔。
馬鹿みたいだよ。
ナミは私の識ってる通り一人で戦ってるのに私はただ人形のようにアーロンの玩具として生きているしかなかった。
馬鹿で浅はかな私。
ねぇ、ノジコ。
ごめんね。私、貴方を殺して産まれたのになんにもできなかった。
ベルメールさんはきっと私のこと怒ってる。
馬鹿で、ごめんなさい…
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bkm