私の記憶はたくさんの死体から始まる。
目が醒めると私はたくさんの死体に囲まれていた。
私を庇うように抱き締めていた死体はお父さんとお母さん。
知らないはずなのに、私は彼らを知っていた。
名前として生きた記憶とナマエとして生きた記憶。
二つの記憶が私の頭の中で混ざり合ってて、
手のひらを見るとベットリと血が付いていた。
『ぁ、ぁ、ぁあ…、』
恐ろしかった。
自分がバケモノになった気がして。
「おぎゃぁぁあ!!!!」
どこからか赤ん坊の声が聞こえた。
赤ん坊の声を辿って近くにあった死体を退かす。
そこにいたのはオレンジ色の髪をした赤ん坊だった
赤ん坊を抱き上げてポロリと零れたのは泪。
私は自分が自分じゃないことに気付いてしまった。
『ハハ…、』
「あーぶ…?」
私って馬鹿ね。
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bkm