とりあえず、子どもたちを家まで送れてよかった。
やっぱり、あの百足にやられた時の傷が疼く。
なんだか吐き気もするし…
毒、あったのかな。
「名前…?おめぇ、大丈夫かい?」
『っ、』
「顔色が悪いですね。」
だんだん身体から力が抜けていく。
フッと目の前が真っ暗になったとき、身体を包む温かい腕に安心して、私は静かに目を閉じた。
鯉伴Side
殺す。ぜってぇ、殺す。
オレの名前に傷つけたんだ。
見つけ出してブッ殺す。
『…はぁ…っ、…、』
「……」
オレの腕の中で苦しそうに息をする名前を横抱きにして、家の中に入る。
家の中に入ると、たくさんの妖怪たちが出迎えるが、それを無視して名前の部屋にまっすぐ向かう。
すると、雪麗さんが台所から出てきた。
「ちょっと…まちなさい、鯉伴!名前ちゃん、えらい顔色悪いじゃない…!あんた何食わせたのよ!?」
それを軽く無視して、名前の部屋の布団に名前をゆっくりとおろす。
それから、名前の着物をちょっと脱がすと、足を見る。
そこには、あの百足にやられたんだろう切り傷。ただし、そこは通常では、あり得ない色に変色していた。
「やっぱ百足の毒にやられたか…」
「毒!?」
「そこまで気丈にいらしてたのですが、倒れられて…、」
名前の足に母親から受け継いだ力を使う。
すると切り傷は消え、名前の顔色もよくなってきた。
それを見て、名前の頭を一撫でしてから、雪麗さんに名前を頼んで部屋を出る。
「おう二代目。」
「帰ったんならよんでくださいよ…話がーー…」
「あぁ…こっちも話がある…親父いるかい?貸元どもも呼んでくれや。」
オレの名前を傷付けたんだ。
いたぶっていたぶって、死にたいって思わせてやるよ。
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bkm