『危ない!』
私が着くと、清衛門くんが百足に襲われそうになっていて、咄嗟に清衛門くんを抱き締めてよける。
あぁ…、やってしまった。
怖い怖い怖い怖い、怖いよ…、
かばったひょうしに足の健のあたりを怪我してしまった。
ジクリと怪我をしたところがじんわりと熱を持つ。
「先生!?」
『っ、』
「名前様!!……!?」
清衛門くんを守るように抱き締める。
恐い恐い恐いよ、
死にたくない、死にたくない、死にたくないのに、
百足が集まったような妖に、震える身体を抑えるけど、身体はすごく正直で、震えは止まらない。
ぁ、来る……っ!
百足たちが私たちに襲いかかろうとした瞬間、目の前には彼の後ろ姿。
バッサバッサと彼の刀が百足たちを切り刻んでいく。
「まん?ばっ…」
「てめぇは、誰の女に手ェ出してると思ってんだ?」
私を守るように立ったその人は私の旦那様でした。
「よぉ、名前。息災かい」
『(シカト)清衛門くん、大丈夫だった?』
「は、はい、」
私になにも言わないで出歩いていた鯉伴には、フルシカトしたいと思います。
私だって、ちょっとはさみしいとか思ったり、思わなかったり…
「…………オイ、」
『………清衛門くん、早くお家帰ろうね。』
「鯉伴様、いったい今まで……、」
鯉伴がなんか低い声で言ってるけど、聞こえないフリ。
首無さんを見ると首無さんも百足を縛って退治していた。
なので首無さんの方に清衛門くんを連れて向かう。
すると、私たちに気付いた首無さんは、鯉伴に何かを言おうとして、途中で止まった。
きっと、それは鯉伴のせい。
だって感じるもん。
後ろから負のオーラが感じるもん。
恐い。
「おー首無……なんで今まで名前と一緒だったのか、詳しく教えてもらおうか。」
「っ、そ、そんな話してる場合じゃないだろ!」
「うるせぇなぁ。オレだって気付いてらァ。……この江戸からただれた匂いがしてやがるからな。」
『さて、じゃあ先生が送って行くから寄り道しないで帰ろうね。』
「「「「はーい!!」」」」
私の都合により、鯉伴はフルシカトでいきます。
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bkm