鯉伴と夫婦という関係になってから何年も過ぎた。
珱姫様も亡くなられてしまうほどの時間。
珱姫様は私によくしてくれて、大好きな母のような人でした。
そんな時間を過ごす中でふと、私は気付いた。
このままじゃ私、ただのヒモだ。
『だからね鯉伴、私寺子屋で働いてもいいですか?』
そういえば、山吹乙女も寺子屋で働いてたなーなんて思いながら鯉伴に上目遣いでお願いする。
この前雪麗さんと買い物にいったら、男の人に寺子屋で先生やりませんか!と誘われた。
もともと子供が好きで将来の夢は幼稚園の先生だった私にはとても嬉しい誘いだった。
で、鯉伴にお願いしてみたんだけど…、
「ダメだ。」
『なんでよ!』
「オレのてもとに置いておきたいからに決まってんだろう?」
そう言って、私に迫ってくる鯉伴に顔が赤くなる。
いまだに、色気ムンムンな鯉伴に慣れない。
てゆか、慣れたらダメな気がする。
『ぁっ…!私の着物脱がさないでよ…!』
「おめぇ…何回ヤってると思ってんだ…」
呆れたように私を押し倒す鯉伴にムッと口を尖らせる。
一回だって、私からシてだなんておねだりした覚えはない。
結局、鯉伴が盛るんじゃない。
なんて、思うけど口には出さない。
この前口に出したら、私が求めるまで焦らされた。鯉伴の変態具合に泣きたくなった。てゆか、泣いた。
でも、今日は負けられない。
『今日はダメだってば!』
グイッと鯉伴の顎を押して私から遠ざける。
その時に鯉伴の首が変な音したけど気にしない。
それから起き上がると、鯉伴のせいで着崩れた着物を直す。
「おめぇ…、」
『鯉伴、目が恐い、恐いよ。』
「誰のせいだ?」
『……鯉伴のせい。』
私の言葉に低く唸るように「あ"?」と言った鯉伴はただのヤクザ以外何者でもない。
「で、なんでいきなり寺子屋で先生やりたいなんて言い出したんだ?」
『だって、鯉伴だって仕事してるんだから、私も仕事したい。』
「必要ねぇだろ。」
そう言われると、確かに必要ないのかもしれない。
けど、
『私だって、働きたいんだもん…』
夢半ばに死んでしまった私は働いたことがない。
だから、少しの間だけでいいから働きたいの。
そんな意味も込めて、鯉伴から目を逸らさずにジッと見つめる。
すると、鯉伴は一つため息を零したあと、私を押し倒した。
……あれ?なんで?
「……明後日からな。」
『なんで明日からじゃダメなの?』
渋々といった感じで、そう言った鯉伴に頭を捻る。
押し倒されるのは、まあ、いつものことなので何も言えない。
すると、鯉伴は口角をあげて、悪役の如く笑った。
「明日は腰が痛くて立てないだろ?」
『へ…?あっ…!ダメだってば…!』
「オレにヤられるのと、寺子屋で仕事出来なくなるの。」
『うっ…、』
「どっちがいいんだい?」
そう言う鯉伴に私の選択肢は一つしかありませんでした。
ほんとに離婚したいだなんて考えてしまう今日この頃です。
ちなみにこの日は宣言通り、鯉伴に陽が昇るまで攻められました。
もう、私の体はボロボロです…
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bkm