かくれんぼ 13


私が奴良家に挨拶したその日に、祝言が行われた。

その早さと準備の良さに鯉伴を見ると、すごいいい笑顔だったから、なんにも言えなかった。
ちょっと、本当に自分が早まったんじゃないかなって思った。

てか、早まったよ。絶対。


『鯉伴、お願いだから離して?』
「オレが離すと思うかい?」
『……………、』


私がもらった自室で、私を膝に乗せて首を甘噛みする鯉伴に若干泣きそうになりながら、私の胸を触ろうとする鯉伴の手を必死で私から遠ざける。

夫婦になった夜に、あんな事とかこんな事とかしてから、鯉伴が変態すぎる。どうしよう。

ちなみに、鯉伴とはあれ以来シてない。
てか、もう一生したくないです。鯉伴恐い。


『ひぅっ、』
「なぁ?」
『耳、はぁっ、やだっ!』


耳を甘噛みする鯉伴にちょっとだけ涙が零れそうになりながら、クルリと後ろを向いて鯉伴の首を私から退ける。

なにこの変態!私、もうすでに逃げたいよ!


「なんだい。別にいいだろ?」
『ゃっ、りはっんんっ…、』


もうやだこの発情期。

危ないと思って顔を背けたら、鯉伴は片手で両腕を後ろで拘束されて、片手で私の顔をおさえてキスをした。しかも深い方。

泣きそう。


『ふぁっ、』
「……、」
『ゃって、ばぁ…っ、…』


そのまま鯉伴が押し倒してくる。
しかも、この人私の着物脱がしてくる。


『ぅにゃぁっ、』
「いい姿じゃねぇか。」
『…っ、』


涙目な私を見下ろして、鯉伴と笑う。
もう、それはすごい悪人面です。

なんで私はこんな人と夫婦になったんだろう。

そのままヤられそうになっていると、ガラリとふすまが開いた。


「名前様、鯉伴を知りません……」
「……首無ィ、てめェ……」
『首無さん!助けてくださいぃ!』


手を伸ばして首無さんに助けを求める。

鯉伴がすごい恐い顔してるから余計逃げたい。
恐いよ。鯉伴すごい恐いよ。


「おまっ、鯉伴!名前様になにしてんだ!」
「あァ?」
『ひっ、』


首無さんごめんなさいごめんなさいぃい!!!!
逃げて、超逃げてくださいぃい!!!!

鯉伴の目がすごいことになってる。
人一人殺せるよ。


「いくら夫婦だからって、女性に無理矢理しては駄目だろう!」
「同意の上に決まってんだろ?なァ名前。」


ニコリ、目を細める鯉伴は口が弧を描いてるのに、目はまったくと言っていいほど笑ってなかった。

たぶん、鯉伴に頷いたら、私、食べられちゃう。

そう思って、鯉伴に抵抗を試みる。


『私、イヤって、』
「おい、名前。わかってんだろうな、あァ?」
『……同意の上デス…』
「そういうことだ。首無、出て行きやがれ。」


鯉伴恐い。

そのあとは予想通り鯉伴に食べられちゃいました。



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bkm
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