かくれんぼ 11



泣きそうになりながら、鯉伴の手をそっと離すと私は今度こそ鯉伴から離れようとした。


『きゃぁっ、』


でも、鯉伴はそんな私の行動を許さず私を横抱きにした。

わけがわからなくて鯉伴を見る。
すると、何故か口付けされた。


『なに、するの、?』
「おめぇはもうオレのモンだ。」
『そんなこと言ってない!私は鯉伴とは一緒にいられないって…!』
「んなことしるか。」
『なっ、』


驚いて鯉伴をジッと見れば、鯉伴の目は真剣で冗談を言ってるようには見えなかった。


『……私は鯉伴と一緒にいたくない。』
「オレぁ一緒にいてぇ。」
『死にたくない。』
「死なせねぇ。」
『…鯉伴なんて嫌い、』
「名前を愛してる。」


穏やかに微笑む鯉伴はすごく、すごく綺麗で、

神様っていうのが、もしもいるなら、

私は鯉伴と、五十年でいい。
五十年でいいから一緒に歩ませて。

鯉伴の首に手を回して私は戻れないことを知りながら呟く。


『ほんとは、ね、』
「……」
『鯉伴が、すき。あいしてる、よ。』


これで、私はもう戻れないんだと、

知りながら、私は鯉伴に想いを告げた。


「やっと、か。」
『?』
「よし、行くぞ。」


私が言った言葉にそう呟いた鯉伴は私を横抱きにしたまま、部屋を出ようとする。

え、意味がわかんない、


『えっと、どこに?』
「夫婦になりに行くに決まってんじゃねぇか。」
『………え、』
「あぁ、もうオレから逃げられると思うなよ?」


なんだか私、早すぎる答えだったんじゃないかな。

なんて思っても後の祭りとはこのことだったと、後ほど知ることになる。





『鯉伴?ねぇ、聞いてる?本当にどこに行くの?』


ガクガクと横抱きにされたまま鯉伴の肩を揺さぶる。
ちなみに鯉伴はぬらりひょん。私たちに気付く人はいないみたいだ。

夫婦になるってどこに行くの…
てゆか私夫婦になる、なんて言ってない…


「オレの家。」
『……鯉伴、おろして?』
「おめぇはもうオレの女だろ?」
『っ、そ、そんなこと言わないでよ!』


鯉伴の言葉にボンッと顔が赤くなる。

オレの女って、なんか恥ずかしいからヤダ。

顔が赤いのを必死で隠すために鯉伴の首に手を回して顔を埋める。
するとなにを思ったのか、鯉伴が「誘ってんのかい?」とか言ってきたから首をちょっと絞めておいた。噛まなかっただけ偉いと思え。



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bkm
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