彼の軌跡をなぞる私 15


『ぃ、や、いやぁぁぁぁあああああああ!!!』


すべてが、私の手から滑り落ちた。


私は一つの決断をした。
誰にも言えない私の決意。

レッドとして生まれた私だけど、パートナーたちだけは、護ろうって。
パートナーたちから、私はレッドを奪ってしまったんだから。

でもね、それは間違えだったの。

私は、私に関わった人全てを護るべきだった。


『グリーン!グリーン!!やめてよぉおお!!!』


頭がおかしくなりそう。

物語は順調のはずだったのに。
ーーあぁ。物語の通りだから。
物語の通りだから、グリーンはこんな目に合ってるんだ。

パリンッ…!

割れる音がした。
それはきっと、レッドの仮面が割れる音。


『……な、……ぃ、』


グリーングリーン、今、助けるから。





ヤマブキに入ってシルフカンパニーに入ると、私はレッドと同じように落とし穴に落ちた。

私の相手はマチス。

サントアンヌ号で戦ったことを思い出す。
今度も、きっと負けない。


「あんときゃあよぉ、よくも邪魔してくれたなぁ?今度は手加減なしだぜ!」
『うぁ!』


マルマインとコイルたちが私を電流をはりめぐらせた壁に押し付ける。
電流が私の身体の中に流れる。

痛い!痛い!痛い!
痛みが身体中を走る。
けど、負けられないから。


「どうだ?この部屋は。電流をはりめぐらせた特別室だ!文字どおり、電流デスマッチというわけだ!ワハハ!」
『んで、ジムリーダーのくせに、ロケット団なんかに味方するんだよ!』
「あ?つまらねぇジム暮らし…マジメにポケモン鍛えて戦って…、そんなもんなにになるってんだ?!あーん!?すべては力だ!力がありゃあ、なんだってできんだよ!」


最低、最低だよ。
力があったって、いずれは終わるのに。

悪は正義の力に平伏す。
それが、物語でしょ?


「……ん?ああ、そういやぁ、忘れてたな。なぁ、お前と一緒に来たやつがとうなってるか気になんねぇか?」
『ぇ…?』
「見せてやるよ!」


どこからかゴルバットが飛んできて、倒れ伏してる私に映像を見せる。

頭の中が真っ白になって、それで、

仮面が外れた。


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bkm
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