彼の軌跡をなぞる私 13


『ピカ!十万ボルト!』


ベトベトンにピカの十万ボルトが当たる。

私は、レッドと違って容赦はしない。
フリーザーもギャラちゃんも助ける。

私の体を犠牲にしても。


『ニョロ!ロケット団たちに水鉄砲!フッシーはベトベトンをつるのムチで止めて!』


私の命令通りに動くみんなに私は走って、ギャラちゃんに抱き着く。

ぶんぶんと、ギャラちゃんが私を振り払おうとするのをグッと我慢してしがみつく。


『ピカ!ロケット団たちに十万ボルト!ゴンはベトベトンをロケット団たちのほうへ投げて!ブイ!ギャラちゃんに睨み付ける!』

「「ぐぁぁぁぁぁああ!!!!!」」


ロケット団の悲鳴が聞こえる。
たぶん、死んではないから大丈夫。


『フリーザーは逃げて!ギャラちゃん!ギャラちゃん!正気に戻って、戻って!!』


ギャラちゃんの顔のところまでよじ登る。
それから、めいっぱい叫んだ。

お願いお願い!!
戻って、戻って戻ってきて!!!


『っ!ピカ!避けてっ!』
《ぴっ、かぁっ、》


ピカを見ると、ベトベトンが立ち上がって溶解液を出そうとしていて、

間一髪でピカが避ける。
けれど、溶解液が掠ったらしい。


『ピカっ、』


手を出して、落ちていくピカを抱き締めようとするけど、届かなくて、


『ぃやっ、ギャラちゃん!!お願いだから、正気に戻ってよお!!!』


必死で必死で手を伸ばした。
ギャラちゃんの身体がピカの方へ、動く。

ギリギリで、ピカの身体は私の腕の中に収まった。

そのことで、ギャラちゃんが正気に戻ったことを知る。

フリーザーは空高く飛んでいた。


《ギャゥッ、》
『よかった…!ギャラちゃん、ありがとう…、ピカ…大丈夫…?』
《ぴーかちゃァ…っ》


ギュッとピカを抱き締める。

よかった、よかった…
みんな、みんな、傷付かないで。

傷付くのは、私だけでいいから。


『ニョロ!冷凍ビーム!!』
《ボンッ!》


冷凍ビームが、ベトベトンに当たる。
でも、それだけじゃ、まだ足りない。

立ち上がろうとするロケット団。


『ニョロ、』


私の言葉にコクリと頷き、ニョロは足を拘束するように水を流し、冷凍ビームでロケット団たちが動かないようにする。

マチス戦で使ったのと同じ。


私は、レッド。
でもね、パートナーたちを守るためなら、私はなんだってするって決めたから。


『私が、守るからね。』


私の腕の中にいるピカに力無く微笑んだ。


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bkm
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