タマムシ近くの平野。
『やったー!』
フッシーがフシギソウに進化したことが嬉しくて思わず飛び上がる。
すると、後ろからパチパチと拍手の音。
『?』
「ステキ!すばらしいわ!進化おめでとう!」
後ろにいたのは私が“知ってる”女の子だった。
あ、今日はブルーに逢う日だったんだ。
そう思って少しでも男らしく振舞う。
ブルーは勘が鋭いからちょっと、恐い。
「あなた、強いトレーナーなのね!戦いっぷり、たっぷり見せてもらったわ。」
『あ…ありがとう!』
「でもね、アイテムがあればもっと強くなれると思うの。」
そう言ってブルーはペラペラとアイテムの説明をする。
うんと、これは別に欲しくないけど買わなくちゃいけないんだよね。
『えっと…』
「いらないの?」
『…、い…り…ます。』
「ありがとーっ、全部まとめて6000円よ!」
そう言って抱きつこうとするブルーからサッと逃げる。
抱き着かれたらきっとバレちゃう。
そんな私にブルーは怪訝な顔をしてたけど、アイテムを買ったらもう気にしなくなったようで、ニッコリ笑って私たちと別れた。
『買っちゃった…』
ごっそりとアイテムを持ちながらため息をつく。
別にいらないのに…
インチキだって知ってるのに馬鹿みたい。
自嘲しながら私はそれを捨てた。
そしてタマムシシティ。
私はパソコンをいじってオーキド博士と繋いだ。
【おお、ナマエ!ん?いや…レッドか?】
『今はレッドの方がいいです。』
【そうかそうか!…おや?フシギソウに変化しとるじゃないか。こりゃ、スゴイことだ!あのおとなしかったやつがのぅ…】
そう言ってオーキド博士は感嘆したように私を褒める。
それが嬉しくてちょっとだけ顔を赤くした。
オーキド博士も私の名前は知ってる。それはもちろんナナミさんも。
でも、やっぱり黙って受け入れてくれるの。
【グリーンのヒトカゲもリザードになったというし、あとはゼニガメだけか。】
『.…あの、盗まれた?』
【そうじゃ。ま、いいんじゃがの。】
それからグリーンのこととかポケモンのこととかを話して、私とオーキド博士はパソコンを切った。
それからブラブラとタマムシシティを歩く。
ブラブラ歩いていると、前方にブルーがまた悪徳商売をしてるのが見えた。
『あーっ!』
「あちゃぁ、やば…!」
私に気付いたブルーが逃げたのを追いかける。
なんか、やっぱり私って馬鹿みたいだ。
「それ!」
『あ、』
「バイバーイ」
ブルーはポケモンを使って川から逃げる。
なら、私がやることは一つ。
ここでブルーは捕まえなくちゃいけないから。
腰にあるモンスターボールをブルーより先の方に投げる。
「きゃぁっ!…っーあたた、なんで急に行きどまりに!?」
『カビゴンだよ。』
「!ご…ごめんなさい。わ…私ったらついその…、」
言い訳を始めるブルーにクスリと笑った。
prev next
bkm