間に合ってます。



私には前世の記憶というものがあります。

そして、私の今の名前は結城名前です。
なんてことはない、どこにでもありそうな普通の名前です。そう。普通の名前なのです。大事なことなので二回言いました。

例え、妹の名前が美柑でも、父親が漫画家でも、母親がファッションデザイナー兼モデルだったとしても、偶然だと思ってました。
てゆか、そもそもあのえっちぃ漫画とは結びつきませんでした。

てゆーか、その時点であの漫画と結びつくほど、あの漫画は読んでませんから。
一回だけですよ。読んだことあるの。

私は自他ともに認めるオタクですけど、そういうえっちぃ漫画はBLだけでお腹いっぱいですから。

まあ、うん。それはどーでもいいとして。
私の嗜好なんてどうでもいいんですよ。

例え、私のクラスに西連寺やら古手川やら、聞いたことのある苗字の人がいたとしても、結びつかなったのです。 だって、男だったし。ちなみに、西連寺くんは私のモロタイプです。これで眼鏡かけてたら、好きになってました。

まあ、それもどーでもいいとして。

誰もあのえっちぃ漫画とは結びつけませんわー。
私は結びつけません。

うん。でもですね、さすがに、この状況だと気付くかな。


「ん?」
『っっっ!いやぁぁぁぁあああ!!!』


一日の疲れを癒そうとお風呂に入っていると、ざばぁとお風呂から全裸の男が出てきた。全裸の男が出てきた。大事なことなので二回言いました。


『みかぁぁぁああああんんん!!』


とりあえず困ったときは、美柑の名前を呼ぶべきです。

名前を呼びながら、素早くお風呂から出て、タオルを巻いて美柑の元へダッシュする。

え?え?なんで?
なんで男の人が?


「どーしたの!名前!」
『い、いいいいいま、男の人!男の人が!全裸!』
「へ?」


アイスキャンディーを食べてた美柑の影に隠れながら、お風呂場に移動する。

ガラッ

「……いないじゃん。」
『あれ?』


誰もいなかった。


「名前は馬鹿だよね。」
『ぇぇえええ!私、お姉ちゃんなのに!』
「はいはい。分かったから、早くお風呂入ってきなよ。」
『ぅぅうう…』


美柑には勝てないお姉ちゃんで悪かったね!


お風呂から出て髪をふきながら、自分の部屋へと向かう。


『うーん…なんか引っ掛かるんだよねぇ…』


ピンクの髪に緑の瞳。
んー…どっかで見たことある。

そんなことを考えながら、ガチャリ、部屋の扉を開ける。
固まった。


「あ、タオル借りちゃった。」
『………だ、だだだだれ??!』
「僕?僕、ララだけど。」
『え、?』
「デビルーク星から来たんだよ!」


この混乱する状況でやっと、私のいる立場を理解した私。

私ってば、あのトラブル漫画の主人公、結城梨斗くんに成り代わってました。


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