「羽衣ー!」
「紅葉!」
二人がギュッと抱き締めあう。
それはまるで恋人同士のように。
「っ、紅葉!やめろ!」
「…紅葉、やめろ。」
「わっ、!」
「クスクス…はとりもおいで?」
元宮羽衣にそう言われたとたん、顔をちょっとだけ赤く染め、元宮羽衣をその腕に抱き締める辰憑き。辰憑きが兎憑きを離したはずなのに。
「はとり!テメェまでなにしてんだよ!」
「夾も来る?みんな甘えん坊さんだねぇ。」
「馬鹿か!!」
「ご、ごめ、」
「な、泣くんじゃねぇよ!」
猫憑きは焦ったように、元宮羽衣をなだめようと必死になる。
『wwもwwうwwダメwwwww』
笑い死ぬwww
せっかく透暗示完璧だったのにこの人たちが笑わせるからwww
「名前君、すごく楽しそう…」
「そんな名前の写真もここに。」
「買うわ。」
あれ?なんかデシャヴな会話?
そんなデジャヴな会話がされつつも、私の笑いが止まらないワロタwww
私の笑いが収まったころ、また面白さ見たさに元宮さん一行を見る。
すると、バッチリと兎憑きと目があってしまった。
「あー!昨日パパのビルで会ったよね?」
目があった瞬間に、兎憑きが私の前にピョンと近寄ってくる。
ぁあ!私の昨日の恨みが!!
ヒクリと引きつる口をキュッと結んで、ニコリと透風な笑顔を作る。
パシャッとなんか音がしたけど、気にしたらダメだよね!花ちゃん魚ちゃん!
『えっと、昨日バイト場所にいた子ですよね?』
「うん!あそこってボクのパパのビルなんだぁ!」
きっとニッコリと笑う兎憑きは、周りから見ればたいそう可愛いんだろう。
でも、ここで忘れちゃいけない。
私と兎憑きのファーストコンタクトは、兎憑きのせいで私が転ばされたシーンです!
よって!
こ の 笑 顔 が 憎 い !
『ふふふ…そうですよ。それがなにか?』
ピシリ。
全体の空気が固まった気がした。
いつもより多く冷たい空気を飛ばしておりまぁす!
マスコットキャラだってそんな時があるのよ。たぶんだけど。それに私は、マスコットキャラモドキ(強調)だから!
…あ、今の笑うところね。
「えっと…、ボクなんかした?」
『いいえ。ただ体調が悪いだけです。』
ニコッと笑ってみせると、兎憑きはホッとしたような笑顔を見せる。
が、私としては一発殴りたい気分です。はい。
そんなことを考えていると、バシンッと兎憑きの頭からいい音が。
「いたっ、由希なにすんの!」
「紅葉、名前に迷惑かけるな。」
「えー?そんなことしてないもんっ!」
「いいから。」
そう言って、さりげなーく、私から兎憑きを離す由希に感動で涙が出そうになる。
やだ、由希がただのイケメンにしか見えない…!
ただし、女装姿なのが残念かな!
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bkm