それから、両親に気狂いと呼ばれ、見捨てられたわたしは、灰閻さんに引き取られた。
引き取られたといっても、一時的に。
たぶん、笑わない、生きようとしない、しゃべらないわたしは、灰閻さんにとって、すごく面倒だったはず。
それでも、灰閻さんはわたしの面倒を見てくれた。
ものを食べないわたしに、食べやすい流動食を食べさせてくれたり、定期的に自殺行為をするわたしを、仕事そっちのけで一日中抱きしめてくれたり。
灰閻さんは優しかった。
わたしに生きることを特別強要しない。
ただただ、抱きしめてくれるだけ。
わたしの心も安らいで来た頃、両親が来た。
両親は言った。
「なんで私たちの娘のくせに、お前は頭がおかしいだ!!」
「あの子は悪魔…、悪魔の子なのよ…!!!!」
灰閻さんが、両親からわたしを守るように抱き締めて、耳を塞いでくれるけど、わたしは両親の言葉を聞いてしまって。
「っ、やめてください。まだ幼い子に…!!」
『ち、がぅ…、』
「……名前?」
そう。本当にわたしがやらなくちゃいけなかったことは一つだった。
自分の“生”を嘆くんじゃない。
わたしは頼ちゃんにならなくちゃいけなかったんだ。
だからだから、すべてはわたしが悪くて、わたしがすべての元凶で、誰も悪くない。
わたしだけが、
異物いぶつ異ブツイ物異物異物異物イ物異ブツ異物異物異物イ物異物イブツ異物イぶつ異物いぶつ異ブツイ物異物異物異物イ物異ブツ異物異物異物イ物異物イブツ異物イぶつ異物いぶつ異ブツイ物異物異物異物イ物異ブツ異物異物異物イ物異物イブツ異物イぶつ
『ぁぁぁぁあぁぁあああぁぁあああ!!!!!』
頭を抑えて蹲る。
わたしは頼ちゃんのために、頼ちゃんの悲しむことはしちゃいけなかったのに。頼ちゃんのためにイイコにならなくちゃいけなかったのに。頼ちゃんのために登場人物には関わらないはずだったのに。頼ちゃんのためにわたしは人生を捧げなくちゃいけなかったのに。頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため頼ちゃんのため。
頼ちゃんに、わたしは、
『ぁぁあ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ、』
ピタリ
わたしはそのまま倒れた。
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