生贄少女 2


わたしは三度産まれた。
一度目は、記憶にない。
けれど、周りから祝福されて。
二度目は、前世の記憶を持って。
男ではなかったわたしは、周りから失望された。
三度目は、わたしがわたしとして産まれた。
誰も知らない。わたしと彼女だけの誕生日。

あの日、彼女がわたしを救ってくれたから、わたしはここにいる。





二度目に生まれ変わったとき、わたしは微かに喜びを感じた。
でも、それは本当に微かで。

その三ヶ月後に、わたしは他人の命を生贄に生まれ変わったことに気付く。


「本当は沙頼って名前にしようとしたんだがなぁ。名前にしたんだ。」


何気なく、父親が言った言葉。
それはわたしを壊す言葉でした。

若葉沙頼。
その名前はわたしが愛読していた少女漫画に出てた女の子の名前で。

わたしは沙頼ちゃんを生贄にして、ここで生きていることに気付いた。


瞬間、ぐちゃぐちゃな感情がわたしを襲う。


やだやだやだやだやだやだやだやだ

気持ち悪いよ、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い
吐き気がするの。

私なんかいなくなっちゃえばいいのに死んじゃえばいいのに消えてなくなってみんなの記憶から消えちゃえばいいのに

ぁぁあああぁあああああ、

やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ

死んじゃいたいよ消えちゃいたいよ

でもでもでも、死にたくない、しにたくないよ、

たすけてたすけてたすけてたすけてたすけて、
だれかたすけて、

なんでわたしがいきてるの、なんでわたしがここにいるの、なんでわたしにさわれるの、ぁぁあああぁぁあ!!!!

いや!いや!!
さわらないでだれもわたしにさわらないでよ、
きもちわるいはきけがするしにたくなるしにくないしんできおくからきえてなにもかもけしさりたいでもわたしをおぼえていてほしいきおくもいのちもけつえきもにくもすべてをけしちゃいたいの

なんでわたしはいきてるんだろ
なんでわたしはきおくなんてあるんだろう


あのとき、願ったからか。


誰から見ても、わたしはおかしかった。
この世界のなにもかも拒絶した。

両親も、わたしという存在も、

気がつかなければ、幸せだったのにね。


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