ドーンと立派な門が私の前に。
ちなみに私、男装なう。
『うわあ…憂鬱……』
「名前、ちゃんと隣りにいてね?」
『…うん……』
まあ、理由はねえ?察して。
イヤイヤ言う慊人に、由希が提案したんだよ。
「名前も連れてけばいいんじゃない?」
なにその提案。全力で却下したい。でもさあ、
「名前がいるなら…」
とか言ってチラチラ私を見る慊人に断れと?
私にはできなかった…!
まあ、元宮さんにバレるとめんどくさいので、男装なう。な私。ちなみに名前は透って呼んでね☆
「透、透も着物に着替えて」
『え。なにそれ聞いてない。』
「今は名前も男だし…俺が着替えさせる?」
『慊人くーん、一緒に着替えよー』
色気むんむんな由希からそそくさと逃げた。
高校生であの色気!どういうことだ!
あれが彼女持ちの色気…!…って、由希ってばまだ彼女いないじゃん。間違えちゃった。てへ。
▽
「名前かっこいいよ」
『ほんとー?慊人に言ってもらえると嬉しい。てか、慊人もかっこいいよ?』
「ほんと?」
『うん。でも、慊人は女の子の格好のほうが絶対可愛い!』
にっこり笑って慊人にそう言う。
絶対慊人が女の子の格好したら可愛いよね。
戌とかキュン死にwww
『ね、慊人。』
「ん?」
『私がちゃんと守るから』
「名前…僕も名前を守るから。」
「ねえ、二人してなにしてんの。早く行くよ」
慊人といい雰囲気になってたら、由希が来た。
え?なに、ヤキモチ?可愛いわwww
『由希もちゃんと守るよー』
「なに言ってんの?俺が守るんでしょ?」
『いやん、由希くん男前www』
顔は女の子なのにねwww
そんなことを心の中で付け足したら、由希に思いっきり睨まれてかーらーの、ふつくしい微笑みを向けられたので、自重したい。
さすが由希。美人だねwww
「由希ー!今日来たのね!」
「……元宮、さん」
「今日来ないんじゃないかって、思ってたの!」
そんな私たち三人がほのぼの?してると、襖が甲高い声の持ち主によって開かれる。
わあ、私の前ではひっくい声だったのにねー
イラッとなんてしてないよ、大丈夫。うん。
「…なんで君がここにいるの?君は紫呉たちといなよ。」
「ひどいなあ、慊人ぉ。私、慊人とも仲良くなりたいんだよぉ?」
バチバチッと二人の間に火花が飛び散ってるように見えるのは私だけでしょうか。
つーか、私は無視かよ。ばーか。はーげ。
「……あ!」
『慊人、由希、早く行こう。』
「ま、待って!」
『おえっ、』
そんなことを思ってたら、バッチリ目が合ってイヤな予感がしたので、慊人と由希の名前を呼んで、広間に向かおうとすると、元宮さんに抱きつかれた。
なにこれ、きもちわるっ!
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bkm