それは私の幼い記憶を遡る。
「名前お嬢様、何故こんなところに?」
『うん、ちょっとね!理人さんはここで待っててね!』
「それは無理です。」
『お嬢様命令(はぁと)』
理人さんをその場で待てさせてから、私は軽い足取りである場所を目指して、ルンルンと歩く。
本郷名前、十歳。
お嬢様な女の子です!
『あ、ここだ。』
私の目の前には小さなこじんまりとしたうどん屋さん。
うん。いいね!
久しぶりの家って感じだ!
もう転生してからは豪邸の大豪邸のお城って言っても間違いじゃないところに住んでたからね。やっぱり落ち着く!
「あら?小さなお客さんね。」
その声に振り向くと、柔らかい笑顔を見せる女の人の姿。となりには、これまた優しそうな男の人の姿。
にっこりと子どもながらの笑顔を見せる。
『はじめまして。本郷周太郎様。』
「「!!」」
瞳を大きく丸めてさっきの優しそうな顔とな一変。まるで、親の仇を見るように私を見る二人に、ちょっとだけ苦笑い。
あれー?こんなんじゃなかったはずなんだけどなぁ。
「君は、」
『あ、えっと、とりあえず、お腹空いたので、うどん食べたいんですけど。』
「「『…………………』」」
その場の沈黙が痛かったとです…
まあ、そんな沈黙を乗り越え、二人と無事和解しました。
私の話をしたら、子どもだと侮らないで聞いてくれる二人はいい人。
ちなみに、私が今日ここに来た理由は、ただたんに好奇心です。たいそうな理由なんてないです。
まあ、来て良かったよ。
だって、おとぼけラブラブ夫婦可愛い!!
やっぱり今の時代は、政略結婚なんかじゃなくて恋愛結婚なのよ!
私の将来の夢は決まった。
全国の女の子が政略結婚なんかに縛られないで、恋愛結婚することだ!!
そして私は現在、お仕事中のお二人に代わって東雲メイちゃんをお世話中ですのん。
「名前お姉ちゃん!」
『あぁっんっ、メイちゃん可愛い!』
小さな身体でポトポトと歩きながら、私に抱き着くメイちゃんに私の心はイチコロです!
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bkm