原作?なにそれおいしいの? 10



由希Side

俺って、こんなやつに畏れを抱いてたんだっけ。


『あははは。慊人かーわーいーいーww』
「う、ううるさい!そ、そんなこと言われて喜ぶやつがいるか!」


顔を真っ赤に染めながら名前に対抗する慊人。
そんなことを言いながらも顔は嬉しそうで、

イラッとした。


「ねぇ、名前。早く帰ろうか。」
『え?あ、もうそろそろ買い物しなくちゃマズイね。』
「俺、今日はさっぱりしたものが食べたいな。」
『はーい。了解だよー。』


ニコニコと俺の言葉に慊人から手を離して言う名前に笑顔を見せながら、慊人に勝ち誇ったように笑う。

すると、慊人はキッと睨んできた。


「待ってよ!僕は由希が名前と過ごすこと許してないよ!」
『えー…。ダメなの?』
「だって由希だけ名前と住むなんてズルい…」
『いやん!慊人可愛いww』


なに、このループ。
それより名前は慊人の顔を見て。
あんなに悪どい顔してるのに。

イライラしながら名前と慊人を引き離して名前の手首を掴んで立ち上がる。


「慊人、とにかく俺は名前の家に住むから。あの人がいる家で過ごすのなんてイヤだ。」
「…それは、」
「だいたい、なんであの人が家に住むことを許可したんだよ。」
「っ、しょうがないだろ…!」


どうせ慊人はみんなに押し切られる形であの人が住むのを許可したんだろう。

だって、慊人はみんなが自分から離れるのを恐れてるから。

俺と慊人が険悪な雰囲気のなか、一人のほほんとした名前が口を開いた。


『んー。よくわからないけど、とりあえず由希くんは私の家に住むってことでいいじゃん。あ、でさ、慊人もお泊りに来なよー。慊人と一緒にお風呂とか入りたーい。』
「「 は? 」」


なにを言ってるの。名前は。

ポカンと口を開けながら名前を見れば、ニコニコと笑顔で俺たちを見ていた。


『え?だって慊人が女の子なら遠慮することないもんねー。』
「……慊人が、おん、な?」


思わず、慊人をジッと見たのはしょうがないと思う。


慊人Side


「名前!そのことは…!」
『あ。……大丈夫!慊人が可愛いのは事実だから!』


グッと親指を突き出しながら笑う名前に力が抜ける。

突然僕のところに来て、僕を受け入れて、僕に友達になろうって手を差し伸べた変人。

でも、僕は案外彼女が嫌いじゃない。

別に、女だってことが由希にバレてもいいや。
名前とお風呂入れるみたいだし。


「名前、慊人が女ってほんとなの…?」
「そうだよ。僕は生物学上女だ。」
『あれ?言っちゃってよかったの?』
「別に…」


由希から名前を奪ってぎゅーっと抱きしめる。

生物学上女なのは本当だから。
でも、生物学上は女でも、心は、ね?


「うそ、だろ…、」
「本当だよ。だから名前とお風呂に入っても別に問題はないし、一緒に寝ても問題ない。」
『あ、私は別に由希くんと寝ても問題はないよ!(子姿)由希くん好きだし!』


それにちょっとイライラして、名前を抱き締める力を強める。
名前が苦しそうにしてたけど、知らない。

だって名前は永遠に僕の、だから。


『まあ、そーゆわけで、由希くんと住んでもいいよね。どうせ慊人も遊びに来たいでしょ?』
「……しょうがないから、いいよ。」
『ありがとーっ!慊人大好き!』


ぎゅーっと抱き締めかえしてくれる名前に安心しながらチラリと由希を見ると、僕が女だってことにショックを受けたのか今だに固まってた。




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