迷走中。 3


先々週、常陸院の双子に出逢った。
先週は銛之塚崇と鳳鏡夜に。
そして今週は須王環。
眼鏡を外してぼーっとしてるところに、これまたぼーっとした須王環と目があってしまった。

まあ、それはスルーしたんだけどねー。

そして今日。


「お前が藤岡名前か?」
『………それがなにかー?』


鳳鏡夜が来た。

あー嫌な予感しかしないんだよねー。
ほんと、最悪かも。

鳳鏡夜に呼ばれ、私は人気のない場所へ。
もう、ほんと帰りたいなぁ…


「お前にはホスト部をやってもらう。」
『……無理ですねぇ。』
「これを見てもか?」
『っ、そ、れは、』


鳳鏡夜が出したもの。
それは写真。

ただの写真ではなく、それはたまたま私が花瓶を落としてしまったときのだった。
花瓶を落としたときは、ハルヒと同じことやっちゃったなー、まぁ、でも周りにホスト部がいないし、いっか!とか思ってそのままにして帰った。

まさか、写真があるとは誰も思わないよねぇ…


「どうだ?これを見てもまだ、やらないと?」
『…なんで、自分がホスト部をやらなくちゃいけないんですかー?』


これでも私、性別上は女なんですけどねぇ。


「お前は人気があるからな。」
『だからって、普通女をホスト部にいれようとしますか。』


ちょっとイラってきたので、私よりだいぶ背の高い鳳鏡夜をジロリと睨む。

どうせ鳳鏡夜のことだから、私の性別なんてとっくの昔に知ってるんだろ。
他人にただ使われるのは好きじゃない。


「…お前が女だということは、俺以外知らない。」
『そうですか。ま、いいですよ。ホスト部、 やっても。』


どうせ、私に拒否権はないんだろう。
だって私は私でも、この世界では藤岡ハルヒという存在な私。
きっと、この流れが自然で、運命で、必然。

私に変えることなんて出来ない。



あの日ハルヒに誓った“ホスト部とは関わらない”という誓い。

それは、私の私自身が作ったハルヒへの免罪符。
自分の罪を少しでも軽くしたかった。


ねぇ、神様。

私、神様なんてやつが本当にいるなら、きっと殺してしまう。

ハルヒを奪った自分を殺したくてたまらなかった時期があった。
その証拠に今も残る手首の傷痕。


でも、今は違う。
私はこの世界が好きで、愛してる。


だからこそ、関わってはいけないと思った。
死ぬことができなかった、私の罪。

でも、関わってしまうなら。
せっかくだから、私は私になって、彼らをとことん拒絶してみよーか。




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