原作?なにそれおいしいの? 8



それに気付いたら、私はこの子がほっとけなくて、

由希くんの手を肩からそっと離して私は当主さんの元へ向かう。


「くる、な、来るな来るな来るなぁっ!僕に近付くなっ、」
『さみしかったんだよね。』


暴れまくる当主さんをそっと抱き締める。
ギリと当主さんが唇を噛むのがわかった。


「っ、わかったような口、僕をおまえなんかが見下すな…!」
『当主さんは一人ぼっちでずっとさみしかったんだよね。みんなの輪の中にいるのに、ずっと一人な気がして。でも、その輪の中にいないほうが辛いから、少しでも長く、永遠を、不変を願った。』
「違うちがう違う!!永遠は続くんだ!これからも!」
『そう。永遠は続くの。信じれば、相手も願えば。でもね、当主さん。当主さんは本当に、そのままでいいの?』
「な、に…、」


おとなしくなった当主さんの耳元で囁く。


『友達になろっか。』
「……は?」


辺りに間抜けな声が響いて私は大笑いした。
いやん。当主さん可愛いwww


「なに、言ってるんだ、?」
『あは。だからね、私の友達になって永遠作ろーよ!永遠の親友って響きよくない?』


クスクス笑いながら当主さんに言ったのに、その横で由希くんもちょっと引いた目で見てるのがわかった。
あれ?なんか心が痛い。


「だって、でも、僕は、」
『なんか友達になれない理由あんの?』
「僕は神様だから、」


その言葉に本日二度目の爆笑。
いや、だって本当に当主さんが神様っていうのは知ってるけど、その言葉だけ聞くとただの中二病とゆーねwww


「わっ笑うな!」
『あ、ごめん。ごめん。だって面白いんだもん!私はさ、当主さんのこと人間にしか見えないんだ。残念ながら。だって物の怪憑きじゃないし。高貴な雰囲気とか感じ取れない。だから、人間の君と私は仲良くなりたいな。…ねぇ、君の名前は?』

「……草摩、慊人、」


その言葉を紡いだ、当主さんーー慊人に私は抱き締めていた力をさらに強めた。


『よろしくね、慊人!私は本田名前。慊人との永遠を願う友達だよ!』

「ふっ、うっ…うわぁぁぁぁあんんっ!!!!!」


大きな声を出しながら私の胸の中で泣く慊人に、私は心の中で謝った。
本当は透が介入しなくなる物語になるはずだったのに、あの人が来たせいで変わってしまった。
私だって、物語には関わる気はなかったのに。

まあ、でも、そっちが原作を壊してすべての結末を変える気なら、私は好きなだけ暴れるよ。

だって、私は大事な人は自分のすべてを懸けて護ることに決めてんだから。


『由希くん、由希くんにも私の胸を貸してあげてもいいよ!』
「いや、俺が名前に抱き着いたら子になるから。知ってての確信犯だよね。」
『だって由希くん(の子姿)好きなんだもん!』

「(……俺が子姿にならなかったら犯してやるのに。)」


ニコッと由希くんに笑顔を向けている私は、ニコッと笑う由希くんの不吉な考えなんて知りませんでした。

とりあえず、本当の目的が達成されてないことについて話し合いたいとおもった。


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