くるくるり! 5


雨の中、蘭と一緒に一つの傘に入って道を歩きます。

ですが、気になることが一つ。

『蘭、肩濡れてますけど大丈夫ですか?』
「大丈夫よ!名前と一緒だもの!」
『?それならいいですけど…、』


肩が濡れてるというのに、何故かルンルンな蘭。
やっぱり新一くんに会えることがすごく嬉しいんですよね。大丈夫。私はツンデレな蘭も大好きです。新一くんは大変でしょうけど、応援してます。

そんなことを考えて、蘭とお話しながら歩いていると、もう新一くんの家の前。

とたんにめんどくさそうな顔になる蘭が、微笑ましくて笑ってしまいます。
きっと、今からニヤけないように頑張ってるんですよね。やっぱり微笑ましいです。
蘭はツンデレの鏡。そう思いませんか?思いますよね。私はすごく思います。

だって、私だったら好きな人の前ではすぐ笑ってしまいますから。まあ、そんな人いないんですけど。残念です。


「新一、いるのー?」
『え、勝手に開けても大丈夫なんですか?』
「大丈夫よ。新一だし。」


新一くんの名前を呼びながら玄関を開けて入る蘭。
さすが幼馴染ですね…


「もー、帰ってるんなら電話ぐらい出なさいよー!!カギ開けっ放しよー!!」
『お邪魔します。』


スリッパに履き替えて、蘭についていきます。
ちょっと不安で、蘭の服の裾を引っ張てるのは秘密です。だって、私は新一くんの家に入るの初めてなんです。

蘭がある扉の前で立ち止まり、そこを開けるといたのは阿笠博士。
あれ?コナンくんになった新一くんもいるはずなんですけど…。どこに行ったんでしょう?


「あら、阿笠博士。」
『こんばんわ。お久しぶりですね。』
「お、おお…!ひさしぶりじゃのー、蘭君に名前君!!」


ペコリと腰を下げて阿笠博士にご挨拶。

私も何度か阿笠博士にお会いしたことはあるんですよ。蘭と新一くんと一緒に帰った時に。初対面で、なにかを爆発させていたのは驚きました。

キョロキョロと蘭が部屋の中を見て、呆れを含んだ感嘆の声をもらします。
私も確かに、と同意。だって、天井まで推理小説がびっしりとあるんですから。ある意味尊敬ですよね。


「こんな本に囲まれて育ったから、新一が推理バカになっちゃうのよ…」

「うっせぇなー…」


蘭がそうもらした瞬間、微かに聞こえた少年の声。
それは机の下から聞こえました。


「誰?そこにいるの…」
「い、いや、この子はその…」


蘭が覗き込むように見ると、眼鏡をかけた男の子がフラフラとしながら、机の下から出てきました。

ちなみに、私はその間なにをしているかというと、ここにある本を覗いてたりしてます。
難しいものから簡単に読めそうなものまで揃っていて、すごく面白そうです。

自分の方を向かない少年、もといコナンくんに蘭は苛立ちを感じた模様。
無理矢理、コナンくんの脇を掴んで自分と向き合わせました。


「コラ!こっち向きなさい!!」
「(やべっ!)」


これが蘭とコナンくんになった新一くんのファーストコンタクトでした。

そして、これから蘭が新一くんを心配し過ぎて、空元気になってしまうでしょうから、頑張って私が支えようと思った日でもあります。


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