雨の中、蘭と一緒に一つの傘に入って道を歩きます。
ですが、気になることが一つ。
『蘭、肩濡れてますけど大丈夫ですか?』
「大丈夫よ!名前と一緒だもの!」
『?それならいいですけど…、』
肩が濡れてるというのに、何故かルンルンな蘭。
やっぱり新一くんに会えることがすごく嬉しいんですよね。大丈夫。私はツンデレな蘭も大好きです。新一くんは大変でしょうけど、応援してます。
そんなことを考えて、蘭とお話しながら歩いていると、もう新一くんの家の前。
とたんにめんどくさそうな顔になる蘭が、微笑ましくて笑ってしまいます。
きっと、今からニヤけないように頑張ってるんですよね。やっぱり微笑ましいです。
蘭はツンデレの鏡。そう思いませんか?思いますよね。私はすごく思います。
だって、私だったら好きな人の前ではすぐ笑ってしまいますから。まあ、そんな人いないんですけど。残念です。
「新一、いるのー?」
『え、勝手に開けても大丈夫なんですか?』
「大丈夫よ。新一だし。」
新一くんの名前を呼びながら玄関を開けて入る蘭。
さすが幼馴染ですね…
「もー、帰ってるんなら電話ぐらい出なさいよー!!カギ開けっ放しよー!!」
『お邪魔します。』
スリッパに履き替えて、蘭についていきます。
ちょっと不安で、蘭の服の裾を引っ張てるのは秘密です。だって、私は新一くんの家に入るの初めてなんです。
蘭がある扉の前で立ち止まり、そこを開けるといたのは阿笠博士。
あれ?コナンくんになった新一くんもいるはずなんですけど…。どこに行ったんでしょう?
「あら、阿笠博士。」
『こんばんわ。お久しぶりですね。』
「お、おお…!ひさしぶりじゃのー、蘭君に名前君!!」
ペコリと腰を下げて阿笠博士にご挨拶。
私も何度か阿笠博士にお会いしたことはあるんですよ。蘭と新一くんと一緒に帰った時に。初対面で、なにかを爆発させていたのは驚きました。
キョロキョロと蘭が部屋の中を見て、呆れを含んだ感嘆の声をもらします。
私も確かに、と同意。だって、天井まで推理小説がびっしりとあるんですから。ある意味尊敬ですよね。
「こんな本に囲まれて育ったから、新一が推理バカになっちゃうのよ…」
「うっせぇなー…」
蘭がそうもらした瞬間、微かに聞こえた少年の声。
それは机の下から聞こえました。
「誰?そこにいるの…」
「い、いや、この子はその…」
蘭が覗き込むように見ると、眼鏡をかけた男の子がフラフラとしながら、机の下から出てきました。
ちなみに、私はその間なにをしているかというと、ここにある本を覗いてたりしてます。
難しいものから簡単に読めそうなものまで揃っていて、すごく面白そうです。
自分の方を向かない少年、もといコナンくんに蘭は苛立ちを感じた模様。
無理矢理、コナンくんの脇を掴んで自分と向き合わせました。
「コラ!こっち向きなさい!!」
「(やべっ!)」
これが蘭とコナンくんになった新一くんのファーストコンタクトでした。
そして、これから蘭が新一くんを心配し過ぎて、空元気になってしまうでしょうから、頑張って私が支えようと思った日でもあります。
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bkm