「ただいまー…」
『お邪魔します。』
そして私は今蘭の家にいます。
小五郎のおじさまのお酒の匂いがすごいです。
「散らかっててごめんね、名前。」
『大丈夫ですよ。私も手伝いましょうか?』
「大丈夫よ!名前はそこに座ってて!」
蘭が小五郎のおじさまのゴミを捨てている横で、私はポツンと座ります。
ぼっちです一人ですオンリーです。
すると、小五郎おじさまが話しかけてきました。
「今日はあの探偵きどりのボウズはどうしたんだ?」
『え?』
「今日はいっしょだったんじゃねーのか?」
「お父さん!新一なんてどうでもいいでしょ!名前は今私といっしょにいるの!」
そう言ってぎゅうっと私を抱き締めてくる蘭に笑みを零します。
新一くんが一人で何処かに行ってしまってさみしいんですよね。
可愛いですよね。新一くんがいないところでデレてます。新一くんに見せてあげたいです。
と、よく考えると、私がいたら私に遠慮して蘭は新一くんのところに行かないんじゃないでしょうか。
……それはまずいです。
『蘭、新一くんに電話してみたらどうですか?』
「えー…大丈夫よ。新一だもの。」
『何事も素直になることが大事ですよ。ほら、私もいるから電話しましょう?』
「……名前は私が新一に電話したら嬉しい?」
『え?ぁ、まあ(新一くんと蘭がラブラブになるところを間近で見るのは)嬉しいです?』
「じゃあ、電話してみるわ。」
なんだか蘭の言い方に不思議に思いましたけど、蘭が新一くんに電話をかけ始めたのでいいと思います。
「……おっかしいなー…電話に出ない…、」
『あら、心配ですねー。』
「まあ、新一だし大丈夫よ!」
『いやいやいやいや、蘭は心配しないとダメでしょう。』
そのまま新一くんを放置しようとした蘭に思わず突っ込んでしまいます。
蘭は私に遠慮しすぎなんですよ。
たまには素直になるのも大切なのですよ。
私が園子と違うせいで蘭と新一くんがラブラブにならないのはいけません。
『私なんかに遠慮しないで、新一くんのところに行ってみたらどうですか?』
にっこりと笑って蘭にそう言うと、蘭は何故だか不満そうな顔をしてしまいました。
それにあら?と首を傾げると、ますます不満そうになる蘭に私もますます首を傾げます。
なぜ、蘭はそんなに不満そうなのでしょう?
もしかして、私と新一くんが会うのがイヤなのでしょうか…?
『蘭は私が(新一くんと会うの)イヤですか?』
「っ、違うわ!そんなのじゃなくて…、ただ…私と名前が二人きりで遊ぶの久々なのに…新一のところに行くのが……、」
だんだんと俯いて声が小さくなる蘭に、なんだかホッとして笑みを零します。
蘭に嫌われたら、私悲しくてきっと泣いちゃいます。新一くんとラブラブにはなってほしいけですけど、なんだかんだで蘭を取られることがさみしいと思ってる私なのです。
私の、はじめての女友達なのですから。
それはもちろん新一くんも同じわけなので、
『やっぱり新一くんの様子を見に行きましょう?たまには、新一くんにデレてあげてもいいじゃないですか。』
「(デレ…?)名前が言うなら…、名前もついてきてくれるんでしょ?」
コテリ、首を傾げる蘭はたいそう可愛かったのです。
そんな蘭の頼みを私が断ることができるはずもなく。
『そうですね。蘭と一緒ならどこにでも行きますよ。』
「名前大好き!」
ぎゅっと私を抱きしめる蘭に笑みを零したのでした。
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bkm