「名前ーー!!!」
二人がジェットコースターから出るころにはもう夕暮れでした。
ジェットコースターから出ると同時に泣きながら私に抱き着く蘭を抱き締め返しながら、ポンポンと背中を撫でます。
『大丈夫ですか?』
「ぅう…」
「ったくよぉー、んな泣くことねぇだろ。」
「うっさい!!」
『なにかあったんですか?警察が入っていったようでしたけど。』
私はいまだに泣きじゃくる蘭の頭を撫でながら、めんどくさそうにしている新一くんに聞きます。
仮にも好きな人が泣いてるのに、そんなめんどくさそうにしなくても…
「殺人事件があったんだよ。」
「ただの殺人事件じゃないでしょ!首がなくなっちゃったのよ!!」
蘭の言葉に、死体を想像してみました。
……思ったよりエグいですね。
蘭はよく頑張りました。
『蘭もそんなに泣かないでください。』
「ぐすっ…、」
「ほらな、名前もそう言ってるんだし、早く忘れた方がいいぜ。」
くすん、くすんと泣く蘭の手を繋いで遊園地の出口を目指す。
今の並び順は、右から蘭、私、新一くん。
私を真ん中にしてどうするんですか…、
普通は蘭が真ん中だと思うんですが。
「ん?」
そう新一くんが一言呟いたのが聞こえたので、チラリと新一くんが見ていた方向を見ます。
すると、そこには怪しい黒ずくめの男。
『(あ、)』
今日が新一くんがコナンになる日ですか。
新一くんが私たちに手を振って黒ずくめの男たちを追いかけていく後ろ姿を見ながら、私は心の中で両手を合わせて新一くんに向かって合掌しました。
新一くんがいなくなって、私と蘭だけになってしまった。
あぁ、蘭ごめんなさい。
新一くんと一緒がよかったですよね。
私なんかと一緒でごめんなさいぃぃぃ
「名前?どうしたの?」
『え?ぁ、か、帰りましょうか。』
ちょっとトリップしてました。
私を心配そうに覗き込む蘭ににっこり笑顔を見せると、私たちは手を繋いで帰路につきました。
ちなみに今日は蘭の家に泊まる予定なのです。
蘭が可愛く私におねだりしてきたのに、断るわけにはいきませんから。
その時、新一くんが面白くなさげにしていたのは、きっと私にヤキモチを妬いていたのですね。
ごめんなさい。でも、たまには私も蘭と遊びたいんです。
さっきまでの泣き顔はどこ行ったのか。
ニコニコと笑っている蘭に私まで笑顔になりました。
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bkm