世界が暗転する。
そんなフレーズの入ってる本を鼻で笑ったことがあった。
世界は暗転なんてしない。
世界はいつだってそこにあるんだから。
そう、思ってた。
『ヒュッ……、』
いきがくるしいあんていしないみえないなにもみえないめがひかりをうつさないあついからだがやけるようにあついだらだらとわたしからなにかがこぼれおちるあついなにかまわりではひとのさけびごえキャーキャーなにをいってるのかうまくきこえないよなんできこえないのやだやだこわいよひかりをちょうだいまっくらはこわいからいやだれかわたしをたすけてあぁだれもたすけてくれないのいたいのに
「オイッ!早く救急車を!死んじまう!」
しぬ?しぬの?わたしはしぬの?
こんないたみをかかえてしんでしまうの?
最後に見えた光景は私の助けた少年の泣き顔。
そして思考停止。ブラックアウト。
こうして、私の世界は暗転したのであった。
どこかで赤ん坊が産声をあげたーー…
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bkm