学校に通い始めて早二週間。
隣の席の黄瀬涼太は思った以上にフレンドリーなやつだったらしい。この短期間で私以外のクラスメイト全員と友達になっていた。
まあ、ようは私とだけ友達になっていないわけで、
「高杉さん、一緒に移動しないッスか?」
『しない。しつこい。』
「手厳しいッス…」
最近は私になにかと構うからうざったい。
なにこいつ、友達百人作る気なの?小学生?
ちなみに私はぼっち推奨である。なにが悲しくて年下に混ざってはしゃがなくちゃいけないんだ。
しかも、こいつってなんつーか…、
『うさんくさい…』
「へ?」
なんか言ったスかー?とか後ろで言ってる黄瀬を無視して私は教室から出た。
教室から出たところで授業なんて言うものに出る気はない。
ある程度なら教科書見ただけでわかるし、これでも鬼兵隊をまとめていたのだから頭はいい方だから。
よって、勉強する意味はない。
それにしたって、
「高杉さーん!サボるなら俺も誘って欲しいッス!」
『…………』
しつこいやつである。
『黄瀬、うっとおしい。』
「高杉さんはなんで俺と仲良くしてくれないんスかー?」
私の言葉を軽く無視し質問する黄瀬にその黄色い髪を毟りたいという気持ちを我慢して、私は黄瀬に振り返る。
『だいたいあんたは胡散臭い。私と仲良くするんだったら、他の奴らと深〜く仲良くできるようにしたら?浅く広くなんて今時流行らないし。どうせなら深く狭くお友達と仲良くしたらいいんじゃないの。つーか、私を巻き込むな。』
ポカンと口を開けてアホ面している黄瀬に背を向け、私はサボり場所を探すために歩き始めた。
このとき、私は黄瀬と話すのはこれっきりだろうと思っていたの。
このときは。
これが間違っていることに気付くのは次の日だった。
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bkm