貴方に価値はありますか? 5


『あ、じゃあさつきはもう中学生なんだ。』
「うん。明日からなんだけどね。名前も今年から中学?」
『……え?』


そんな会話で私はやっと自分の身体が大変なことになっていることに気付いた。




そんなこんなで、私とさつきはすでに呼び捨てで呼び合うほど仲良くなっていた。


「名前はなに買いに行くの?」
『んー、服と食糧かな。あとタオルとか。』
「あ、引越してきたんだもんね。」
『まあ、ね。』


そこは笑って誤魔化した。

さつきと会って、私はここがもともと私のいた自分の世界とは違うことに気付いた。

ここ、黒バスの世界だ。

まあ、気付いたからと言ってなんかあるわけじゃないんだけどね。
だって、私には関係ないし。



そして冒頭の会話に戻る。


『私、中学生に見える?』
「え?う、うん。」
『ごめんね。私、ちょっとかわ…じゃなくて、トイレに行ってくる。』
「?わかった。ここで待ってるね。」


厠に向かってすぐに鏡を見る。
するとそこには幾分か、ってかすごく若くなった自分の姿。


『うそ…』


なんでこんなに小さいの。
しかも髪の毛伸びてる?え、嘘でしょ?


動揺する自分を落ち着かせて冷静になる。
そして、クソ☆男が書いた手紙を思い出してみた。


【で、君には当分この世界で生活してもらうから!
あ、お金と戸籍と住む場所は心配しないでね!
僕がちゃーんと用意したよ!崇めてもいいよ!
中学校にはちゃんと行かないと駄目だよ?義務教育だからね!】


……中学校には?行かないと、ダメ?


バリンッ!
『あのクソ☆男…』


思わず鏡を壊しちゃったけど気にしない。
絶対に、許さない。

拳についた血を洗って、何事もなくさつきのところへ行くことにした。

私がさつきのところに行くと、さつきの周りには数人の男たち。

……ナンパ?
ちょうどいいや。八つ当たりに使えそう。


「ちょっと、やめてください!」
「いいじゃねぇか。俺らと遊ぼうぜ。」
『無理矢理なんて最低だな。』


さつきの手首を掴んでる男の手を払う。
すると、男たちは私を睨み付けたが、だんだんとその顔をいやらしい顔に変えた。

きもちわりぃ。
私、こういうやつら気持ち悪くて無理。


「お前も可愛いじゃねぇか。仲間にいれてやるよ。」
『はっ。あんたらが?その顔で?馬鹿じゃないの?釣り合うと思ってんのかよ。』


挑発するように鼻で笑うと、案の定男たちは顔を真っ赤にして私に殴りかかろうとしてきた。
それにニヤリと笑って、殴りかかってきた男の手を受け流して鳩尾に蹴りをいれた。

うーん…やっぱり着物だと蹴りづらいなぁ。
刀じゃなくても木刀くらい持ってればよかった。


「てめっ、」
『うざい。このカス。』


一人の男が倒れたのを見て数人の男が私に殴りかかってくる。

女一人に男三人。卑怯だ。

私は一人の男の首を掴み、もう一人の男にぶつける。それから最後の一人の腕を捻りあげると首を絞めた。


『ここから退け。邪魔だ。』
「ひっ、ひぃ、」


男は情けない声をあげるとどっかに行ってしまった。

やっぱり、手応えないや。
つまんねぇわ。


「す、すごいね!」
『あ、さつき大丈夫だった?』
「うん。ありがとう!」

ニコニコと笑うさつきの頭を撫でてやると、周りの人の視線が私たちに向いてることがわかったので、その場からそそくさと逃げ出した。


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bkm
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