■ 変態が来るとは思わなかったよ。
やだ、変態がいる。
「こ、この子が僕の娘になるって?!ハァハァ…最高じゃないか!」
『え、だれ。』
息をハァハァしながら、近付いてきた男から逃げる。
近づく。
逃げる。
近づく。
逃げる。
壁にドン。
近づく。
「ハァハァ…陽奈多…」
『ひぃっ…!』
知らない男が私の名前を知ってて、ハァハァしてる状況ほど、怖いものはないと思った瞬間だった。
「おい、お前、陽奈多になにしてんだよ。」
『ティ、ティキ…』
「ティッキー!この子が僕の次の養女になる子だろう?!」
初めてティキがまともに見えた瞬間だった。
ヤンデレって、たまにまともだからたちが悪い。ギャップ萌えするわ。馬鹿。
「陽奈多、大丈夫だったか?ああ、気持ち悪かっただろ?あとで俺が綺麗にしてやるよ。」
『……それよりこの人は?』
目にハイライトがないティキを華麗にスルーしながら、首を傾げて聞く。
うん。やっぱりヤンデレにギャップ萌えとかないわ。最近、ちょっと疲れてるみたい。
「僕はシェリル・キャメロット。ああ、ノアでいうと【欲】だよ」
『(そんな情報いらない)』
「そしてこれから君のお父様さ!」
『ごめんなさい。私、ちゃんと家族いますから。』
興奮したようなシェリルとか名乗った男を冷めた瞳で見る。
って、あれ?キャメロットって?
『ロードのお父さん…?』
「君は頭がいいんだね。その通り!ロードは僕の最愛の娘だよ!ああ、これからは陽奈多も僕の最愛の娘さ!」
いや、そういうのもいらない。
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