■ 自分の存在意義を問いたくなった。

ミランダがイノセンスを発動してくれた。
おかげでみんなの怪我とか見えなくて済んで感謝してる。
ありがとう。ミランダ・ロットー。

あ、でも死亡フラグが強くなった気がする。


そんなことを思いながら涙が出そうなのを堪えていると、ミランダ・ロットーのイノセンスの空間の中から出てきた大きな腕が私をリナリー・リーごとガシリと掴んだ。


『え、』
「っ、陽奈多!!」


そのまま、イノセンスの空間の中に入る私。

ヤバくない?


「リナリー!ルーチェ!」
『ぁ…!』


とたん、ギュッとアレンに抱き締められる。

嘘でしょ。リナリーの方を心配してあげて。本当に。

そんなことを考えていると私を抱き締めたまま、リナリーの脈拍を測るアレン。
器用すぎる。


「ア、アレンくん、リナリーちゃんは…?それにその子…、」
「…大丈夫。リナリーはこの空間にいれば…」


リナリーを見ると時計のようなものが身体から出てきていた。
すると、虚ろだった瞳がはっきりと、意志を持った瞳に変わる。


「あれ…私…?」
「「リナリー!」」


良かったと二人が喜ぶ横で私は全然よくない。
なんで私はここにいるんですか。

二人がミランダにお礼を言ってる横で、抱き枕よろしくのごとくアレンに抱き締められてる私。

わー。ツッコミどころが一杯一杯だー。

とりあえず、なんか自分から行動しなくちゃ始まらない気がしたので、モゾモゾとアレンの腕から抜けようと動きながら口を動かす。


『あ、のっ、』
「駄目ですよ。ルーチェ。僕はもう、貴方を逃がしませんから。」
『……っ、』


口を開く前に撃沈した。

ニッコリと目の奥をどんよりと濁らせながら私を見るアレンにイヤな予感しかしない。
そして外にいるロードにもイヤな予感しかしない。

四面楚歌ってこのこと?


「ねぇ、アレンくん、その子…」
「はい。そうです。僕が最初の任務で連れて来る予定だった人です。」
「そう…」


何故か納得したようなリナリーに泣きたくなる。
突っ込んで。突っ込まなくちゃダメだって。

何処かに私の意志を尊重してくれる人はいないだろうか。

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