■ 死亡フラグを折ることがうまくなった。

アレンSide

次の日の夕方、彼女を迎えに行くと彼女はいなかった。
学校から帰って来なかったらしい。

それから二ヶ月。
教団の任務をしながら彼女を探したけど、全然見つからなかった。

そ れ な の に 、

「ノアの…一族…?」


ルーチェが?
ずっとずっと好きで、愛して、愛おしくてたまらなかったルーチェが敵…?

茫然としながらルーチェを見れば、ルーチェはフワリと微笑んでいるだけだった。


ルーチェSide

うーあー。
これ絶対私もノアって勘違いされたよね。最悪。


「シーーーー!!ろーとタマ、シーー!!知らない人にウチのことしゃべっちゃダメレロ!!」
「えー、何でぇ?」
「ダメレロ!大体今回こいつらとろーとタマの接触は伯爵タマのシナリオにな無いんレロロ!?」


そう言ってぷんすか怒るレロを無視して、ロードは私を抱き締める。さらに私の髪にキスを落とすと、挑発するようにアレンを見た。

…帰りたい。
切実に帰りたい。
え、てか、ほんとなんで私ここにいんだろ。

なんか浮気現場を発見された男が、女二人の修羅場に巻き込まれる感覚がよく分かる。

きっとこんな感じなんだろうね。あはは。

……笑えないよ。


「物語を面白くするためのちょっとした脚色だよぉ。それに…ボクのルーチェと知り合いみたいだし。早めに本当のこと知らないとかわいそうでしょぉ?」


あ、この子確信犯だった。
私のことノアに仕立て上げて自分から離さない気だ。

そのことにヤンデレ、ダメ、絶対とか考えていると、ギリリと変な音をさせながらアレンは壁に杭で打たれていた自分の手を壁から引き剥がした。

グロいグロいグロい。
ダメだって。それはダメだって。

そのままポーカーフェイスで、二人を見ていれば、ロードがアレンに抱き着き、アレンの手に触れ自分から攻撃を受けながら、近くにあった杭を握りしめた。

それに、あ、ヤバいと思って咄嗟にロードの名前を叫ぶ。


『ロード!止めて!』
「!ルーチェぇ?」
『もう、いいから。やめ、』
「ぐああぁあああぁ、」
『っ、』

マジで、グロすぎる。

ロードは私の声に反応して一瞬手を止めたが、そのままアレンの左目に杭を刺した。

なんで止めたのに刺しちゃったの。ねぇ。おかしいよね?おかしいよ。


『ロード、なんで、』
「…なんで陽奈多がアレンを庇うのぉ?ボクよりアレンが好きなのぉ?ねぇ、ボクのモノでしょ?アレンが好きなんて、絶対に赦さないからぁ。」
『、』


ロードのその言葉にゾクリと背中に何かが走る。

ヤバい。ロードの、目がイッてる。
それはもういろんな意味で。

アレンの攻撃に自分から当たりに行ったから片方の目はやきただれてるし。
もう片方は私を澱んだ瞳で見てる。

…死亡フラグ?そんなのダメ、絶対だ。

スタスタと、自分のいる場所からロードのいる場所へ向かってロードと向き合う。


『ロード、私、ロードが好きだよ?だからそんなに怒らないで?それに…顔も痛そう。ロードのこと好きだから、ロードにはあんまり怪我とかして欲しくないんだよ…』
「…ほんとぉ?」
『本当だよ。それに、私血が苦手だから、あんまり見たくなかっただけなの。…信じて、くれる?』


ニコ、と力無く笑いながらロードの怪我がない方の頬に手を添えながら言葉を紡ぐ。
するとロードの顔はすぐに傷が消え、ロードは頬を染めて嬉しそうにしながら私を抱き締めた。


「ボクも陽奈多だぁいすき。」


その言葉を聞きながら私はぼんやりと空を見上げ、死亡フラグ回避するのが上手くなってる自分に拍手をあげた。


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