■ 一瞬で彼女の虜になった。

アレンSide

瞳が綺麗だと思った。
僕よりも幼いはずの少女が親をアクマに殺されても光を失ってなくて、

普通はアクマに両親が殺されたら、泣き喚くか壊れるか。
でも、少女は自分を失わなかった。

あぁ、欲しいな。

ドロリとした自分の欲望が心の底から流れ出すのを感じた。

少女の祖母はエクソシストだった。しかも元帥。
噂では過去最高を名乗るにふさわしいエクソシストだったらしい。
まあ、彼女はもう死んでこの世にはいないのだけれど。

教団は考えた。
なら、彼女の血を受け継ぐ者も彼女と同等の力を得られるのではないか、と。
彼女の娘は駄目だったらしい。イノセンスは何も反応しなかった。
だから、教団は彼女の孫である少女、ルーチェを教団に呼び寄せてイノセンスが反応するかを試したかったらしい。

そこで僕がルーチェを迎えに行った。
でも僕が行った時にルーチェはアクマに襲われていて、


「危ない!」
『は、?』


思わず少女を守るように前に立ち、アクマを壊す。
なんでだか分からない。反射的に行った行動だった。





『命を助けてくださりありがとうございました』
「いえ、大丈夫ですよ!怪我はありませんか?」
『はい、この通り何もありませんわ。』


涙目になりながら僕にお礼を言う少女。
でも、それが演技だってすぐにわかった。
なんでだろう。きっとルーチェのことだからかな。
彼女が演技をするなら僕も乗ってあげようと、僕は辛そうに顔を歪めて彼女の頭を撫でる。


『…貴方はどちらから?』


その言葉に僕は白々しく目的を言う。
この少女がルーチェだってことなんてとっくに知ってるのに。
僕の言葉に不思議そうに顔を歪め、自分の名前を名乗ったルーチェに僕は初めて知りました、というように彼女を見る。

このまま教団に連れて行きたくない。
その気持ちから僕は顔を辛そうに歪める。
教団に連れて行ったらいろんな人を彼女がその瞳に写すのか。
そんなことを考えると彼女の瞳を見えなくさせてやりたい。最後に彼女の瞳に映るの僕でいい。

でも、教団の命令は絶対なんだ。


「…、エクソシスト総本部、黒の教団から貴女を連れてくるよう頼まれました。ご同行お願いできますか…?」
『はぁ?』


思わず素が出たであろう彼女が可愛かった。


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

彼女の部屋で二人っきりなんて堪えられなかった。

彼女のその白い首に歯を突きたてたらどんな感じなんだろう。
血に染まる彼女はきっと美しいんだろうな。
そんなことが頭の中でグルグルと回る。

そんなことを考えている間に僕の体は勝手に行動していて、思わず彼女を抱き締めていた。


『あの…、』


上目遣いでなにがなんだか分からないと言った表情で僕を見るルーチェ。

あぁ、

「…………い」
『は?』
「食べたい、」


僕の言葉に危機を感じたのか、抵抗するルーチェを簡単にねじ伏せて、


『いっ……!』
「はっ…」


彼女のその白い首に歯を突きたてた。
彼女の首からはドクドクと血が流れる。
怯えたように僕のことを涙目の瞳で見上げる彼女。
そんな彼女に微笑む。
あぁ、やっぱり綺麗だ。


「僕のものになってくださいね。」


その瞳も手も指も唇も血も、貴女のものすべてを僕にください。

生まれて初めて欲しいと思ったんですから、僕のものにしてもいいですよね。

気絶してしまった彼女をベッドの上に乗せてやり、長くサラサラな髪に自分の指を通すと、

僕はその唇に自分のそれを重ねた。


「愛してますよ。ルーチェ。」

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