■ 悪夢は忘れたころにやってくる。

なんか最近ロードが普通すぎて恐い。

もう末期だよね。普通が恐いとか。
あ、でも首輪はそのままだし軟禁されてるから状況は変わんないや。

……私って帰れるのかな?
いや、無理にでも帰ろう。うん。頑張ろう。

そんなことを一人で考えていると、ガチャリと扉が開いた。


「陽奈多、」
『、は?』


また今日もロードが来たとか思って扉の方に顔を向けるとそこにいたのはティキ・ミックだった。

あれ?なんだろう。イヤな予感がする。


「陽奈多、」
『っ、』

……なんでだ。
私、なんだかんだで一番最初のときしかティキ・ミックに逢ってないから今の状況が理解出来ない。

なんでティキ・ミックは私に馬乗りになってんの?
なんでそんな目がヤンデレなロードのときみたいに虚ろなの?

やーめーてー。


「なぁ、ロードのこと好きなのか?」
『はぁ。まあ、好きですね。それより退いてくませんか?』
「……………………」
『ひっ、』


私がティキ・ミックの変な質問の問いに不本意ながら答えると、ティキ・ミックはあろうことか私に通り抜けの力を使った。

あれだよ。アレンの心臓を潰した力。
名前は覚えてないんだけどね。


「わかるか?今、俺は陽奈多の心臓を潰して殺せるんだぜ。」
『っ、やめ、て。』
「心配すんなって。殺さねぇよ。」


ティキ・ミックの言葉に冷や汗がでる。

死にたくない。死にたくないよ。

ティキ・ミックは私の心臓を掴んでいない方の手で私の頬を撫でる。


「なぁ、ティキって呼べよ。」
『、てぃ、き…』
「もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと、呼べ。」
『わか、ったから!お願い…殺さないで……』


私は涙を流してティキに懇願する。
私は絶対死にたくないもん。
絶対にここから逃げて金持ち引っ掛けてニート生活してやる。
そのためなら、嘘泣きだってやるんだから。


「俺にも好きって言え。好きになれ。愛せ。」
『すき、だよ。だから、殺さないで、』


私がそう言うとティキ・ミックはニヤリと笑いながら私の身体から手を抜いてくれた。
それにほっとしつつもまだ馬乗りにされてるので気は抜けない。


バンッ!

「陽奈多ーーっ!っ、ティ、キ………?」


そんな緊迫した状況の中に入ってきたのはヤンデレロードちゃんでした。
しかも、だんだんと目が虚ろになっててる。

もうヤンデレなんていらない。

これからのことを考えると憂鬱になった陽奈多ちゃんでした。まる。


え、てかヤンデレ増えたとか最悪。
とりあえず自分の貞操と命だけは守ろうと思った。

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