■ スルースキルって大事だよね。
目が覚めると私の目の前にはあら不思議。
ティキ・ミックと思われる方のどアップ。
「お。やっと目が覚めたな。」
『……………………………っ!』
なんでだ…。なんでこうなった。
ティキ・ミック卿(仮)は目が覚めた私に何故か付けられている首輪に手を這わす。
え?どうしよう。ツッコミどころがありすぎてどこから突っ込めばいいかわからない。
「ちょっとぉー。ティキぃ。ボクのルーチェにあんまり触らないでよぉ。」
「ん?まあいいじゃねぇか。」
いつの間にいたのかティキ・ミック卿の隣には私が知っている漫画の中のロードのようにパンク系ゴスロリ姿でアメを舐めているロードの姿。
てゆうか、やっぱりティキですか。
(仮)じゃなくてモノホンのティキですか。
死亡フラグ乱立………!
『あ、の。ここ、どこですか?』
「……まだぁ?まだルーチェはボクに隠し事するのぉ?」
そう言って私に手を伸ばすロードの目はやっぱりというかなんというかイっちゃってて。
思わず私の身体は固まる。
そうするとロードはさらに機嫌を悪くしたように口を尖らせ、私の何故か付けられている首輪に手を回した。
ティキはそれを予想していたようにベッドに腰掛け私たちを見てニヤついている。
『っ、』
「ねぇ、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで、なんでぇ、」
私の首に力をいれながらそう呟き続けるロードはちょっと、いや、とーーっても恐かった。
いや、ほんとにね。恐いから。
ちなみにティキは我関せずとでもいうふうに私たちを見てニヤついている。
『キャメロットさ、』
「………ルーチェぇ、」
私の今の名前を呼ぶロードの声はいつもより低く、暗い。
ぶわっと冷や汗が流れる。
駄目だ。駄目だ。私の頭の中でサイレンのような警報が鳴る。
「ボク、言ったよねぇ?ルーチェはだぁれ?」
『…ぁ……』
ロードはそう言いながら私の首をゆるりと締める。
「ボク、言わないとルーチェのこと殺しちゃうよぉ?」
『っ、………陽奈多、』
「んー?」
『陽奈多。私はルーチェじゃなくて陽奈多。』
あぁ言わなかったら殺されるなと思い、私が名前を出した途端にロードはにやりと笑った気がした。
でも瞳は濁りきってて歪んでた。
「あはっ!陽奈多って言うんだぁ…ボクの、陽奈多。」
ロードはうっとりと私の名前を何度も何度も呟くと私を苦しいくらいに抱き締めてきた。それはもう内臓が潰れるんじゃないかってくらい。
なんなの。これで死んだらどうすんの。
てゆうか、私とロードをニヤニヤ笑ってるティキはなんなの。
なんとなく、本当になんとなくティキの目がロードと同じように濁っていたような気がしたのは全力でスルーするとこにした。
もうやだ。
てか、結局ここどこ。
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