人が落ちてきたらどうしますか?


私の目の前に降ってきたのは人間だった。
しかも血だらけ傷だらけ。
血は返り血っていうのも多いみたい。

それをじーっと見る。

すると、またもや何かが降ってきた。


『………これまた、』


血だらけ傷だらけだった。なんか意識ないみたいだし助けたほうがいいのかな?
となりで一緒に空を見ていた熊のプーさんにこの二人を担いでもらうように頼む。
プーさんは軽々と二人を担いでくれた。ありがたやありがたや。


ガチャガチャと私が住んでいる家の戸棚をいじる。
ちなみに私の住んでいる家は空き家だった
昔にはこんなに大きな空き家があったんだ、と感心するほど大きな空き家だったので、雨が降ったときはいろんな動物が私の家に雨宿りに来る。ちょっと役得。

戸棚から目当ての塗り薬を見つけると、それをプーさんが連れて来てくれた二人を布団の上に寝かせて傷跡に塗ってあげた。なんかちょっと染みるみたいで顔を歪めてたけど大丈夫大丈夫。良薬は口に苦しだから。

ちなみにこれは要ちゃん特製傷が治るのが早くなるよ薬である。
よく動物たちに使ってあげてるので、要ちゃん印の薬の中で一番人気がある。ついで言うと、二番人気は下痢止めである。

それにしたってこの二人。
生まれ変わる前に読んだ歴史の教科書にあった苦無とか手裏剣を持っている。ので、忍者とみた。
だけど、この二人はきっと落ちこぼれだろう。だって忍ぶ気がなさそうな服装だ。
最初に落ちて来た人間、女の方はもういろいろダメだって感じでセクシーすぎる。もう少しで胸とか見える。しかも網タイツ。
あれ?ここってなんの時代なの?
私なんかボロボロの着物なのだけど。

で、二番目に落ちてきた男。こっちは迷彩柄の服着ててオレンジ色の髪。

私でもわかる。
この人たちは忍者の落ちこぼれだ。


とりあえず血だらけって言うのも忍びないので、外に出て井戸から水を汲む。
それから木片を集めると、不思議パワーでそこに火をつけてお湯を作ることにした。

何分か経ってお湯が出来ると布に浸して、二人の身体を丁寧に拭く。
女の方は髪の毛にまで血がついていて、綺麗な金髪がもったいなかった。

すべて拭き終わると、あとは戸棚から解熱剤を出して水を汲んで近くに置く。
この人たち傷たくさんあったし、きっと熱が出ると思うんだ。
あ、氷も作っといた方がいいのだろうか。
まあ、それはあとでもいいや。

その後、私の想像通り熱を出した二人は、何故だかすごく泣きそうな顔をして魘されていた。


『だいじょぶですよー。要ちゃん特製薬塗ったのですぐに治ります。』


あまりにも辛そうに顔を歪めていたので、ぽんぽんと頭を撫でてあげる。
すると、落ち着いてきたのか二人は気持ち良さそうに寝息を立てて寝てしまった。

私も眠くなったので畳の上で寝た。



それから次の日。
二人は今だに起きる気配はない。
なので、私は今日も今日とて彼女たちのお世話で大忙しだ。


『モロ、この薬草とってきて。』


近くにいた狼のモロに薬草を見せる。
するとモロは一つ吠えると、森の中を駆けて行った。

それから私はもともとあった薬草でゴリゴリと薬を煎じる。
うーん、このまま起きなかったら無理矢理にでも起こしたほうがいいのかな?
そこらへんよくわからない。
だって医者じゃないし。

そんなことを考えていると、モロが帰ってきた。


『あれ。早い。』


そう言ってモロに近づくけど、モロはなにも持ってない。
あれ。なんで帰ってきたのだ。
はて、と首を捻るとモロは私の着物の裾を引っ張った。
よくわからないけど、モロが来いって言ってる気がしてそのままモロについて行く。
すると、そこにはまたまた人が落ちてた


『モロ、プーさん呼んできてください』


血だらけ傷だらけは忍者のステータスなのだろうか。思わずそんなことを考えるほどに、この男も血だらけ傷だらけだった。
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