私が殴られるしかないんですか?
なんか私が天女を虐めたとかで、たくさんの人に殴られた。
しかも、牢の中に入れられた。
別にいいけど、理不尽ってこのことかなぁ。
『あ。鼻血。』
鼻が熱くなって、触ってみたら血がダラダラ出てた。
どうしよう。牢の中汚しちゃうや。
それにしたって、この城に来て一日でこんなに殴られるとは思わなかった。
やっぱり凡人には、偉い人の考えてることはよくわかりません。
とりあえず、鼻血を止めるためにボロボロの着物を破る。
ボロボロだった着物がさらにボロボロになった。…隠せればいっか。
『……帰りたい。』
キョロキョロと牢の中を見渡す。
布団もなにもない。石で作られた冷たい牢の中。
牢の外では、たくさんの人の笑い声が聴こえる。
そういえば、夜に一人って久しぶりかもしれない。
捨てられてからは、モロもプーさんもいたから、夜はあったかかった。一緒に寝てくれたし。それにかすがさんも佐助さんも小太郎さんもいたから。
でも、一人の夜は久しぶり。
あ。そっか。
心が苦しくて、とっても人に逢いたくなるってことが、
『寂しいんだ。』
膝を抱えて蹲りながら、牢の隅っこの方で寝た。
夢を見た。
かすがさんと、佐助さんと、小太郎さんと、モロとプーさんたちと一緒に森の中で暮らす夢。
目を覚ますと、冷たい牢の中でなんだか泣きたくなった。