出会ったらどうすればいいですか?
なんだか、かすがさんや佐助さんや小太郎さんと住むようになってから、胸がほっこりとあたたかい。
これが、幸せってことなのかな。そうだといいな。うん。私は今幸せ。
そんな幸せな私が、今日もかすがさんたちに黙って山を散策していると、人の気配。隣にいるモロが唸る。
『あ、』
「Hey girl!ここはどこだ?」
『…………』
馬に乗った変な眼帯をつけた男の人だった
唸るモロの頭を撫でて、落ち着かせる。
モロが唸るだなんて珍しい。この男の人は危険なのかな。
「幸村のところに行きたいんだが、迷っちまってな。教えてほしいんだが。」
『幸村って人の家はどこですか?』
「武田だ!」
『武田……たぶん、あっちです。』
指をさして男の人に教える。すると、男の人はThank you!と言って、私の指差した方へ馬を飛ばして去っていった。
なんだかよく分からないけど、別に気にすることでもないので、そのまま散策を続ける。と、珍しい薬草があった。ちょっとだけ興奮して、薬草を摘もうとするけど、ここで大変なことに気付いた。
薬草を入れる籠がない。
『モロ、籠とってきて。』
私の言葉に一鳴きすると、モロは山を駆け私の家に向かう。それを見送ったあとは、ボーッと空を見ていた。
「Girl!」
『さっきの人…』
「道がわかんねぇ!お前も来い!」
『え、』
男の人がそう怒鳴ると同時に感じる浮遊感。次の瞬間には、私の言葉に関係なく、私は男の人に馬に乗せられていた。
『………』
「で、どっちだ?」
『あっちです。』
とりあえず、早く帰ってくればいっか。
男の人の馬に乗せられて、武田領に着くと、そこは久々の城下。
ずっとあの山にいたからな。本当に久しぶりかもしれない。うんと、もしかしたら五年ぶり?
「そういやぁ、お前なんてNameだ?」
『要です。』
「俺は伊達政宗だ!今さらだが、お前は南蛮語が理解できんのか?」
『南蛮語…?』
南蛮語?南蛮語ってなに?
「Ah〜わかんねぇならいい。」
『そうですか。』
とりあえず早く帰りたい。かすがさんたちにバレたら絶対に怒られる。怖い。それにモロたちも心配してるよ。きっと。たぶん。あ、モロは珍しい薬草採っといてくれないかな。無理かな。
「とりあえず、ここまで連れてきてくれた礼だ。着いてきな。」
『いや、あの、家が…、』
「あんなところに家なんてあんのか?」
『……』
そう言われると、そうかもしれない。
あの家はたまたまあった廃屋で、かすがさんたちはたまたま拾った人たち。あれ?今さらだけど、私たちの関係ってなんだろう。もしかしたら、かすがさんたちは私のことが嫌いかもしれない。ううん。嫌いとはいかなくても、気味が悪いとは思ってるはず。だって、無表情で十才のくせに大人びた口調してる子なんて気持ち悪いもん。
あ、なんだろう。胸がぎゅうぎゅう痛い。
「じゃ、決定だ!」
そのまま、私は伊達さんに何処かに連れて行かれることになった。
あれ?伊達政宗ってなんか聞いたことある気がするけど…わかんないや。
とりあえず、帰ったらかすがさんたちに私のこと聞いてみよう。
なんか、胸がモヤモヤするけど、これはなんだろう。