僕らの宝だからです。


俺はつい先日まで武田信玄の忠実な家臣でもある真田幸村に仕えていた。

なんで過去形か。
それは俺がそいつらにこっぴどく捨てられたから。
忍が使い捨ての道具だってことは自覚済みだったけど、あいつらは俺を一人の人として扱っててくれたから、そんなことしないって信じてた。信じてたんだ。

でも、結果あいつらは俺たちを捨てた。
かすがだって自分の主をすごく慕ってたのにそれすらもなかったことにされた。

一人の女のせいで。


へいせえというところから来た天女と呼ばれた女は俺たちの主をことごとく駄目にした。

俺の主だった人は仕事も稽古もしなくなった。それはかすがのところも同じ。

だから、俺たちはあの女に対して意見を言った。

ただ、それだけのことだった。

俺たちはそのまま殺されそうになった。
運良く要ちゃんに拾われなかったらきっと死んでた。

要ちゃんがいるから俺たちがいる。
そう言ってもいいくらい。

それに要ちゃんってすごく可愛いんだよね。
手も小さくて、ふとしたときに見せる笑顔がこれまた可愛いんだよ。
子どもらしくないけど、またそれがいいんだ。
小さいから俺が抱き締めると、こう、スポッと俺の腕に収まって。それに体温があったかくてすごくいい。

あ、でも俺様幼女趣味じゃないからね。

要ちゃんじゃないと駄目だし。
他の幼女でもこんなにはならないから。


『佐助さん、お団子食べたいです。』
「はいはい、わかったよ。みたらしだよね?」
『みたらしが好きです。』
「りょーかい。」


グリグリと頭を撫でると恥ずかしいのか俯く要ちゃんも可愛い。

要ちゃんは、俺様たちにとっていてはならなくては存在。

きっと、あの女が落ちてきたのは俺様たちと要ちゃんを会わせるためなんだと思う。

そう思ったら、あの女に感謝できる気がした。

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テーマ「人外ファンタジー」
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