結果、私と千鶴は新選組に保護された。
千鶴の父親が、ここでは重要な人物となっているらしい。
まあ、千鶴はいまだに外には出られないのだが。まるで、幼い頃の私を見ているようだ。
私は、といえば、男として新選組の隊員として過ごすことになった。
文句はない。
血が見るのは嫌いではないから。
今日も朝の稽古が終わり、汗を拭う。
井戸から水を組むと、それをそのまま被った。
ポタポタと水が滴る。
そのまま放心していると、気配が近付いているのがわかった。
『………誰だ。』
「あはは、僕だよ。鈴之助くん。」
『沖田…』
「やだなぁ。総司って呼んでもいいんだよ?」
『何の用だ。』
人をおちょくるような沖田に対し、いつもよりも声を低く唸るように尋ねる。
こいつの反応に苛立ちを覚える。
千鶴に対し、なにかと文句の多い男。
私はこいつが嫌いだ。
「なんでもないよ。ただ、鈴之助くんに興味があるだけ。」
『…ならば、失せろ。目障りだ。』
頭を振り水分を飛ばす。
少々髪が長くうっとおしいが、しょうがない。
そのままいつも通り千鶴の部屋へ行こうとすると、沖田に二の腕を掴まれた。
「僕が話してるのに、どこに行くつもり?」
『っ、お前には関係ないはずだ。腕を、離せ。』
ギリギリと強くなっていく沖田の力に顔を顰める。
意味が、わからない。
「それにしても…本当、鈴之助くんって、女の子みたいな身体つきだよね。」
その言葉にカッと顔が熱くなる。
こいつは私を馬鹿にしているのか?
それとも、気付いてるのか?
どちらかわからないが、警戒するにこしたことはない。
『…いい加減にしろ。こっちは稽古帰りで疲れている。お前に付き合ってるヒマなどない。』
緩くなった沖田の手を振り払うと、私はさっさと沖田から離れ、千鶴のもとへむかった。
もともと、私は鬼としての力はあまりない。
本当に、子どもを作るための道具としてしか使えないだろう。
だが、私には刀がある。剣術がある。
それがある限り、私は誰にも負ける気はしない。