「鈴之助さん!」
『千鶴。』


十四の年に私は運命の出逢いをした。
彼女も女で私も女。
でも、彼女は私を受け入れてくれた。

私を好きだと、

血に塗れた私を好きだと言ってくれた。

私を愛してくれたのは彼女だけ。


十七の時、彼女の父親が行方不明になった。
千鶴はそれを探しに行くらしい。
私はそれについて行った。

思えば、これが始まりだったのかもしれない。


そこで、私と千鶴は見てはいけないものを見た。

“鬼”の存在に人為的にされた者ーー羅刹を。

鬼、私はその存在を知っていた。

何故なら、私も、鬼だから。


純粋な鬼の子。
父親は母親が死んだ代わりに私と、また濃い血を継いだ鬼を作ろうとしていた。

千鶴も鬼。
私は知っていたが、言わなかった。

私は鬼のせいであんな目にあったのだから。
鬼は人を下等な生物だと見ている。
だから、鬼と鬼で子を成し、より強い血の繋がりを求める。

しかし、女鬼の数が圧倒的に少なかった。
だから、父親は私を生産用の女鬼として隔離し、私を犯した。


私たちは羅刹を作った者たちに連行され、尋問された。
幸い、私が女だということはバレずにすんだ。
ただ、千鶴がバレてしまったが。

新選組と名乗った男たちが千鶴を殺す、という話を聞いて、思いっきり睨みつける。


『おい、貴様ら。千鶴は私の許嫁だ。千鶴に手を出すのなら、私はお前たちを殺す。』


刀を帯刀しようと手にかける。

私は興味ないのだ。
貴様らが羅刹などというものを作ろうが殺そうが。

私が本当に大切なものは千鶴だけ。
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