『千鶴!』
「?鈴之助さ、」
そばに誰かがいた気がしたが、それを無視して自分の腕の中に千鶴を押し込める。
『千鶴千鶴千鶴千鶴千鶴千鶴千鶴、』
「どうしたんですか、?」
唇から違和感が取れない。
汚い汚い汚い汚い!!!
千鶴だけいればいいんだ私には。
千鶴だけ、千鶴だけが私の宝なのだから。
他はイラナイ。不必要。
「おい、今、こいつと俺は話の途中だ。」
『!』
その声に一瞬にして、意識が戻る。
弱ってた。こんなんじゃダメだ。
千鶴を守れない。
千鶴を守れない私に、価値はない。
『すいません、土方さん。』
「チッ、ここではこいつは男だ。他の隊士に女だってバレたくねぇなら、そういう行動は慎め。」
『……はい。千鶴、悪かったな。』
「え、」
自分より背の低い千鶴の頭を一撫ですると、私は二人の側から離れた。
悔しい。
沖田にあんなことをされたからといって、千鶴の正体をバラすようなことをしてしまうなど。
ギリギリと腕に爪を立てる。
強くやりすぎて血が滲んだ。
しかし、それを心地良く感じてしまう私はどこかおかしいのかもしれない。
「……おい、」
『、あぁ、斎藤さん。なにか?』
後ろから声をかけられ振り向くと、斎藤さんの姿。
自分のとこの隊長でもあるので、返事を返さなければいけない。
あぁ、これが赤の他人なら無視したのだが。
「傷が、」
『気にしないでください。そういえば、今日、私は休みですよね。町に行ってきます。では。』
口早にそう言うと、私は対して行きたくもない町に繰り出した。
……その判断が私のすべてを狂わせた。