私はいわゆる“籠の鳥”だった。
生まれた時から目にうつるものは、父親と私を世話をする者。

それから、窓から見える綺麗な空。
中でも一番は、夕日によって染まる紅い空だった。


父親は私を犯した。
恐ろしい、儀式のような魔の時間。

初めて犯されたのは九つの頃。
誕生日に無理矢理だった。


泣いても、叫んでも誰も私を助けてくれない。

私を見る下卑た男の視線。

耐えられなかった。

だから私は刀を手にとった。


初めて人を殺したのは十二の時。
私を犯しに来た父親の刀で、父親の首を刺した。
父親はあっけなく絶命した。

血が綺麗だと思った。
美しくて幻想的で、

あんなのでも、美しいものが流せるのだと知った。


それから、父親が絶命する前にあげた悲鳴によって来た人たちをみんな殺した。

自分の身体が黒く染まるまで。
肉を断つ感触は思いの外気持ちがよかった。


それから私は逃げて、逃げて逃げて逃げ続けた。気がつけば、日の本の東から西にまで逃げてきていた。

その頃の私はもう十四。
成人するまであと一年だった。

私は名を鈴から鈴之助に変え、男に扮して生きるようになった。
都合がよかった。

そして、私は運命の出逢いをする。



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