一ヶ月 | ナノ


▽ 魔法の時間はあと二週間


何度も何度も転びそうになりながらトムに腕を引かれて移動する。

そのままトムに腕を引かれて移動していると広い場所に出た。


『トム、ごめんなさ、い。』
「…なんで謝るの。」
『だって、私、』

迷惑かけちゃった、

その言葉が発することはなかった。


『んっ、んんぅ、』
「………」
『と、む、?んぁ…』


クチュクチュといやらしい音がする。
でも、それもどこか気持ちよくて、

あぁ、私とトムは今キスしてるんだってわかった。

そう自覚した途端に顔が熱くなる。


『ふぁ、んっ、とっ、む、んんぁっ、』
「…ふっ、…」
『ぁ…』


苦しくて薄っすらと瞳に涙の膜を張るアリシアが愛おしく思った僕はおかしいのかもしれない。
苦しそうに、でも気持ちよさそうに目を細めるアリシアはとてもいやらしかった。


「……苦しかった?」
『ちょっとだけ…でも、嬉しかった…』
「っ、」


ギュッとアリシアの身体を抱きしめる。
なんで僕はこんなことしてるんだろう。

でも、今抱き締めなかったらアリシアが消えてしまいそうで、

なんで消えちゃダメだと思うんだろう。

アリシアは利用できるから?
そもそもなんで僕はマグルが嫌いなんだっけ。

次々と疑問が浮かんでは消える。


『トム…?』
「気まぐれ、これは気まぐれだよ。」
『……うん。分かってるよ。』
「っ!分かってない!」
『?』


あぁ、僕はなにをいう気?


「僕はっ、アリシアが、」
「アリシアのすべてが欲しいんだ!」


誰かが言ってた気がする。
恋愛に時間は関係ないんだって。


『私、トムのことすき。だいすきだよ。ずっと、私の命が終わるまでトムを愛せる自信あるわ。』
「アリシア?」
『トムの気持ちがあと、二週間経っても同じだったら、私、トムにすべてを捧げる。私のすべてを。』


そう言って笑うアリシアは綺麗なんだけど、いつもとは様子が違う気がした。


prev / next

[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -