▽ 彼女の時間はあまり残されていなかった
アリシアと付き合い初めて二週間が経った。
最近自分がおかしい。
あいつがいないとイライラする。
『リドル!』
「アリシア…、」
『どうしたの?体調悪い?』
僕を僕だけを心配するアリシアに気持ちが落ち着く。
彼女が僕だけしか映さなければいいのに。
「アリシアは僕のモノだよ。」
『……!うん!』
心底嬉しそうに笑う彼女に心が揺れるのは何故だろう。
『アイリーン!聞いて聞いて!今日はね、リドルと一緒にホグズミードに行くのよ!』
「そうなの?!よかったじゃない!それに…最近のアリシアは笑ってることが多くなったわ。貴女が笑ってると私も幸せ!」
『!アイリーン、私も貴女がいてすごく幸せだわ。』
貴女がいるから私は幸せ。
リドルとアイリーンは私の世界だわ。
私の言葉に照れ臭そうに笑うアイリーンに私の心が軽くなった気がした。
「アリシア、行こうか。」
『リドル!…じゃあ、アイリーン。帰ってきたらいろいろ報告するわね。』
「ふふ…行ってらっしゃい!」
ふわふわと浮かれる気持ちで私はリドルの後について行った。
『ねぇ、リドル。私ね、ホグズミードに来たらたくさんやりたいことがあったの。』
「なに?」
『まずね、三本の箒でバタービールを飲みたい。それから、ハニーデュークスで甘いものも買いたいし、マダム・パディフットの店でお茶もしたい。マダム・パディフットの店はね、カップルが多いところで有名なんですって!あ、あと、バタービールを飲みながらいろんな話を聞いてほしいし…「ちょっと待って。」
『?なぁに?』
ホグズミード行きの汽車で私はたくさんのやりたいことをリドルに話していた。
きっと、私がホグズミードに行けるのは今日で最後だから。
「やりたいこと多すぎ。今日一日では難しいから。」
『…そう、かな。』
「………それに僕がいなくても出来ることじゃないか。」
『ちがっ、私はリドルと一緒がいいの…』
「………はぁ…」
リドルから聞こえてきたため息にビクリと肩を揺らす。
それっきりリドルは喋らなくなった。
あぁ、どうしよう。
もしかしたらリドルに嫌われたかもしれない。
そんなことがグルグルと頭を廻る。
私をリドルに嫌われたら生きていけないのに。
「…ほら、行くよ。」
『……え?』
「ホグズミード着いたから。」
私がグルグルとそんなことを考えている間にホグズミードに着いたらしい。
リドルが私に手をさしのべていた。
私はこの手を取っていいのか迷う。
私がキョロキョロと迷っていると、イライラしたようなリドルが私の手を掴んで自分の手と絡ませた。
『リドル…?』
「全部、行くんでしょ?時間なくなる。」
『うん……!』
やっぱりリドルは優しくて大好き。
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