一ヶ月 | ナノ


▽ 私のすべてを貴方に捧げる


アイリーン、泣いてた。
きゅうっと私の心が締め付けられる。

でも、彼女は泣きながら私の死を受け入れ、約束してくれた。

やっぱり彼女は私の最高の親友。


『、ゲホッ…!』


息苦しくなって手のひらで口を覆いながら咳をすると、手のひらには血。
何日か前から出たこの症状は誰にも言ってない。
もうマダムに泣きそうになって欲しくなかった。あんな瞳を見たくなかったから。


『あぁ、アイリーンに嘘ついちゃった。』


私が死ぬのはきっと今日。

フラフラと力が入らない身体を立たせると、アリシアはベッドに倒れ込むようにして寝っころがった。


トム、トム、トム、
私は貴方といれて幸せでした。
貴方がいたから私は生きてこれました。

貴方の貴重な一ヶ月間を私にくださってありがとうございます。

おかげで私は最期の一ヶ月間とても幸せでした。

私の幸せは貴方の幸せ。

例え、貴方が私の知る道を歩もうとも、例え、貴方が私以外の人と恋に落ちようとも、私は貴方が幸せならそれでいいのです。

貴方が幸せなら、

私はどうなったっていいから。


私の最後の命は、貴方のために、


『私が死んでも、貴方を守れるように、』


私は最期の魔力をこのペンダントに込めましょう。


貴方のご先祖様に誓いを、


『あい…してる、…わ、トム…、』


彼女の放った最期の言葉は誰にも届かぬまま、彼女は眠りにつくように【生】を終えた。






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