▽ 彼女は幸せに暮らしています
リドルはやっぱり優しいのかもしれない。
『ごめな、さっ、ごめん、なさい、』
「…………」
あれから何分、ううん何時間経っただろう。
私は泣きじゃくりながらリドルに謝り続けていた。
謝ることしかできない。
だって私はリドルの問いに答えられない。
あぁ、でもこんなに泣きじゃくってたら、リドルに捨てられしまうかもしれない。
それはイヤ。
そう思ってるのに、私の口から謝罪と嗚咽しか出てこなくて、
「ねぇ、アリシア、」
とうとうリドルが言葉を発した。
それに私は捨てられるんじゃないかって思ってビクリと肩を揺らす。
捨てられる、だなんて拾われてもないくせに。
『ご、ごめっ、なさ、』
「もう謝らないでいいよ。」
そう言って私の背中を摩るリドルを見上げた。
なんで、リドルは私にそんなことを言ってくれるんだろう。
やっぱりリドルは優しいから?
「アリシアは僕が好きなんだよね?」
『すき、だいすき、』
「じゃあ、アリシアは僕のモノだ。」
無邪気に笑う彼はやっぱり愛おしかった。
『わ、たしはリドルのモノ…』
「うん。あ、でも勘違いしないでね。アリシアは僕のモノだけど、僕はアリシアのモノじゃない。ちゃんと分かってるよね?」
コクリと首を縦に振る。
私はリドルのモノ。
その言葉がただ嬉しくて、幸せだった。
「アリシアは僕のモノだから、どこにいても僕が呼んだら来なくちゃ駄目だよ。僕の命令は絶対だし、僕以外のモノにはなるな。」
『はい…』
「あぁ、それと敬語は使うな。僕のモノなんだから。」
『……!うん!』
やっぱり花が咲いたように笑顔を見せる彼女に僕の心は揺らぐんだ。
だからかもしれない。彼女に秘密の部屋の話を聞けなかったのは。
今日は素敵なことが起こった。
私はリドルのモノになれた。
彼はやっぱりとても優しい。世界で一番素敵な人。
…こんなに幸せでいいのかな?
たまにすごく不安になる。
あと、一ヶ月で死ぬのに、私は今こんなに幸せ。
心がとても満たされている。
彼と永遠にいたいなんて。
だんだん欲張りになってる。
アイリーンは最高の親友だし、私の隣にはリドルがいる。
こんなに幸せなのに。
今は、アイリーンともっと遊びたいし、リドルの心が欲しいだなんて。
私はわがままね。
(彼女の日記より抜粋)
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