祈りは誰にも届かない
何度も何度も想った。
もしも、私がヒナタじゃなくて、桜色の綺麗な髪を揺らす彼女だったなら、彼は私を見ていてくれたのかな?って。
何度も何度も願った。
アオイとして生かせてくださいって。
何度も何度も祈った。
目が覚めたら私はアオイで、ヒナタもこの世界にいる世界をくださいって。
そんな願いも祈りも届かぬまま、私はこの日を迎えた。
もし、もしも、ネジが私を本当に殺してくれたら、私は嬉しかったのに。
何度夜が明けても、何度目を覚ましても、
私は悪夢から解放されない。
目を開けると、白い天井が最初に目に入った。
起き上がろうとする私についているたくさんの管。
ここはどこ?
だなんて、言えるはずもない。
近くを見ると、木の葉のマークが目に入ってしまった。
また、この世界なの。
私はまだ、帰れないの?
ブチリと、管を無理矢理剥がす。
もう、イラナイ。
なんにもいらない。
管を剥がしたことで、血が垂れたけどどうでもいい。
カタリ、窓に手をかけると私はそこから消えた。
「日向さ……っ!おい!105号室の患者がいなくなったぞ!!」
だから、後から私がいないことによって騒がしくなってたなんて知らない。
prev /
next