太陽 | ナノ


  悲しみの海に飛び込んだ


彼が好き。

だけど、私は【識って】いた。


彼の好きのベクトルが私に向かうことがないことを。
それでも、私は彼に恋をした。




「サクラちゃーん!!」
「うっさいわよ!ナルト!!」


彼に恋をしてしまってから、二年。
私たちは下忍になった。

事が原作通りに進んでいくのを、私はただ見ているだけ。

なんで、私は叶いもしない恋をしてしまったんだろう。
ただ、苦しくなるだけなのに。
彼の好きはサクラちゃんのもの。
私はもらえない。


「ヒナター?どうしたんだよ?元気ねぇぞ!」
『ぁ、キバくん…、なんでも、ないよ?』
「元気ねぇなら、ちゃんと言えよな!チームだろ?な、赤丸!」
《アンッ!》


ペロリ、キバくんから私の膝の上に乗って、私の唇を舐める赤丸くんにクスリと笑う。

今は、もうあの頃の私じゃない。
私を見てくれる人ができた。
私の体調が悪いときに、心配してくれる人ができた。

でも、世界に色はつかないまま。


「お!ヒナタ!」
『な、ナルトくん…、』


サクラちゃんにフられたナルトくんが私とキバくんを見つけて、手を振りながらこっちに来た。

金色の髪が私の視界に入る。

苦しい。苦しいよ。
ナルトが私の視界に入るたびに胸が苦しくなる。


「ヒナタどうしたんだってば?」
『っ、』


やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて!!!!!!!!!

私はヒナタじゃない。
私はアオイなのに、


「おーい、ヒナター?」
「どうしたんだよ?」
『な、なんでもないよ…?』


ニコリと二人に微笑む。

ボーッとしてたんだ。
ダメだなぁ、私。


「なら、いいてっばよ!なぁなぁ、それよりも聞いてくれってば!サクラちゃんがさぁ…!」
「てめぇはいつでもサクラサクラうっせぇよ!」


彼は毎回毎回サクラちゃんの話をする。

きっと、彼はその度に私の心が軋むことに気付かないんだろう。

こんな恋心、早く消えてしまえばいい。

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